2017-12-30(Sat)

話数単位で選ぶ2017年TVアニメ10選について。

 どうも。今年全然更新できなかった。ちょっと下に去年の10選あるの笑う。
 冬コミ、もう始まっちゃってますが抽選漏れしました。新刊作る気もなかったし仕方がない。

 さて、今年ももう年の瀬。毎年恒例10選やります。10選やり始めたときから思ってたけど、更新のネタとしても総括するのにも便利で助かる。

  ルールは
 ・2017年放送のTVアニメ。
 ・1作品1話まで。
 ・順位は付けない。



1,『この素晴らしい世界に祝福を!2』 第6話 「この煩わしい外界にさよならを!」 脚本:中村浩二郎  絵コンテ・演出:江原康之 作画監督:浅井昭人、石川洋一、さのえり

 去年の10選でも書いたけど、『このすば』は強引に話をデカくしようとするんだけど結局そんなことなかった、みたいな平和な物語で、すごくすごく好き。Bパート、カズマが死んじゃったのに復活せずに転生しちゃおうとするんだけど、結局体に落書きされたから還ってくる、みたいな。コタツの中、武器屋、平原、ルナの前…とコロコロ変わる場面転換もあって、行き当たりばったりでとっ散らかった感じが笑いのテンポとなって小気味良い。

 とっ散らかったと言えば、何と言っても佐藤利幸さんパートのアクア。
  https://www.sakugabooru.com/post/show/30735
 こういう意図していた芝居が原画マンの力で倍増している画面、素晴らしい。

 演出面ではAパートに散見する被写界深度の浅い画面が印象的。画面の質感向上の意図が強いんだろうけど、武器屋でのカズマは「周りの見えていなさ」を強調した自惚れを感じさせる画面で面白い。
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 他にも皆別々の方向を向いていたり、ピントが合ってるキャラの後ろで、そのキャラとはぜんぜん違う表情をしているキャラが居たり、すごくいい意味でとっ散らかってる。まさに『このすば』的な1話。
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 『このすば』は何よりすべてを包み込むようなEDがあるから、尚更各話が好きになる…。



2,『小林さんちのメイドラゴン』 第8話 「新たなるドラゴン、エルマ!(やっと出てきましたか)」 脚本:志茂文彦  絵コンテ・演出:山田尚子 作画監督:西屋太志

 山田さんのローポジ演出で「小林さんち」のアットホームで安心できる空気感が伝わる。そんな一話。
 個人的にも最近ブームな小津安二郎監督のカメラワークリスペクトを感じる。『東京物語』のコメンタリーでも触れてましたが、ローポジと一定方向(右からフレームイン)のキャラクターの移動が馴染んだ場所という空間づくりに一役買ってる気がする。Aのカンナがフレームインしてくるところとか。
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 他の回も改めて見直したけど、小林さんちでの会話ってキッチンダイニングを活かした画面が多い。トールがキッチンに居て小林さんとカンナがダイニングの椅子に座ってるっていう構図で「いつもの風景」を演出しているのかもしれない。ただ、この山田さん演出回は椅子に座るんじゃなくてフローリングにドカッと座った画面が印象に残る。必然的にカメラはローポジ中心になるし、座り方でどういう感情であるのか、という演出にもつながる。
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この後トールに「あれっ靴が脱げない…」っていう芝居入れるのも良い。
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※4枚目は玄関前。
 山田さん演出回の「座る」っていう芝居。一回注目してみるととても面白いかもしれない。
 
 余談だけど、この時の山田さんの手芝居ブームはこれでした。
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3,『タイガーマスクW』 第38話 「仮面タイガースプリンガー」 脚本:千葉克彦  絵コンテ:渡邊巧大 演出:鎌谷悠 作画監督:渡邊巧大

 『タイガーマスクW』は24話とかもかっこよくて好きだけど、やっぱりこの38話は外せない。1話通して渡邊さんの絵が強く出た画面で、キメキメのレイアウトがカッコイイ。
 QTUとか速度の早いカメラワークもありながらFIXの画面でちょっとした芝居があったり…カメラワークと芝居の引き出しの多さにただただ痺れる。
 モブ含め、止めのカットでもそのキャラクターの性格がわかるようなポージングも凄い。アイデアとセンスに満ち溢れたスペシャルな一話。

  https://www.sakugabooru.com/post/show/35952
 こういうモブを上手に使うカット、アイデアだよなあ。



4,『月がきれい』 第3話 「月に吠える」 脚本:柿原優子  絵コンテ:平峯義大、岩崎光洋 演出:平峯義大 作画監督:清水直樹、北村友幸、小菅洋

 直接は気持ちを伝えられなくても、LINEなら出来る。一方で茜に小太郎を意識させた「そのままでいい」という言葉は直接伝えた言葉であり、この回のクライマックスでもある告白シーンも直接「会えた」から生まれたもの。茜のスマホが電源切れてしまうのも、小太郎が長々と正しい参拝方法で神頼みをするのも、『月がきれい』というタイトルの如く、二人が想いを伝えるまでの遠回りなロマンチックを演出するために存在する、大事な鍵なのだと感じる一話。LINEでのコミュニケーションを否定するわけではなく、偶然や必然の伏線であったり、物語の核心であったり、いろいろなシチュエーションで活用しているのが『月がきれい』の面白いところ。
 そしてこの回はなによりラスト。荒木涼さんパートの告白シーン。『月がきれい』の魅力でもある「え?」とか「うん」と言った感動詞の中にある感情の機微が丁寧な芝居作画と合わさると、その意味と魅力を加速させる。
 BGMも無く、画面の緊張感が強い中見せつけられる荒木さん作画、必見。
https://www.sakugabooru.com/post/show/33230 



5,『エロマンガ先生』 第8話 「夢見る紗霧と夏花火」 脚本:伏見つかさ  絵コンテ・演出:若林信 作画監督:小林麻衣子
 
 芝居作画の質の高さとカッティングが上手すぎる若林さん演出回。
 マサムネが話の中心だからか、マサムネの芝居はより濃厚になっている気がする。アバンの沙霧とのやりとりは、フレームの外や映らないところで芝居をしていたりしてすごく情報量が多い。それなのにカット単位・シーン単位・シークエンス単位で芝居や場面転換の区切りを上手に作っているからすごく整理されているように感じるカッティングで面白い。芝居作画の質も常時高くて、原画段階で足されている芝居も多そうだ。

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 ドア越しに反転したマサムネをドアの向こうから映してすぐのカット。反転しながら居心地の悪さにポケットに手を…と思ったけどポケット無い…!どういう手癖なんだマサムネ。

 A終盤、マサムネに「お前が俺の姉貴だったらよかったのに」と言われたエルフの横顔が良い。まさに「横顔は人物を捉える角度の中で最も客観的なカットです。キャラクターの内側に目を向けさせることが出来ます(若林信仕事集1より)」なカット。
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 そしてBラスト、マサムネが本音を吐露する前に二人が綿菓子を食べるところの無音カットバックがすごく好き。まさに「切り返せば切り返すほど緊張感が高まり意味が重なってくる(若林信仕事集1より)」カット。
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6,『アイカツスターズ!』 第86話 「涙の数だけ」 脚本:待田堂子 絵コンテ・演出:安藤尚也 作画監督:橋口隼人

 自分は、S4になれなかったローラの中には、高くそびえ立つ自分の限界という壁と、それに負けてたまるかという気概のせめぎ合いがあり続けていたと(勝手に)思いながら見ていたので、この回には胸を打たれました。
 「悔いがないようにしないと」と決意を述べながら、エルザが出ると聞くと下を向いてしまうローラ。でもローラにはゆめ達と共に鍛え上げてきた力がある。ステージで負けてもなお弱い自分と戦い続けた気概がある。だからこそエルザに負けて俯き泣いても、次のステージに挑むことが出来るのだ…!な一話。
 この回では一貫してゆめが「S4のゆめ」ではなくて「ローラの親友としてのゆめ」として描かれてたのも好きです。S4の制服を着てではなくて、ジャージを着て、部屋着を着て、ローラと寄り添う。その関係性が86話という回数を積み重ねて洗練されている感じがして、凄く良い。



7,『3月のライオン』 第13話 「Chapter.26 黒い河②、Chapter.27 扉の向こう」 脚本:木澤行人 絵コンテ・演出:川畑喬 作画監督:よこたたくみ、清水勝祐、野道佳代、前田義宏
 
 Aパート、三角のモノローグで進む三角と後藤の対局は、淡々としたモノローグとは裏腹に、徐々に雲行きが怪しくなる。この「雲行きが怪しくなる」を実際の天候の移り変わりとともにカットバックで徐々に見せていくんだけど、その終局の場面ではイメージカットが急に現れ、三角が後藤の将棋の中へ沈んでいく、という演出へ繋がる。
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 川畑さんのコンテは短いモブカットやBGオンリーのカットをさりげなく忍ばせて、ここぞというところでガラッと画面の色・空気感を変える。『3月のライオン』13話はその忍ばせ方が上手い。特に『3月のライオン』はシリーズ通して「水底」とか「風」っていうモチーフが多用されてる。川畑さんみたいな極端な色やイメージカットを決め球にする演出家さんにとってはそれをモチーフに活かすことができて、作品とマッチしているのかもしれない。この回のA冒頭でも「風」を上手に使って川本家の暖かい空気感と零の内に秘めた決意が対比されていた。

 ちなみにAパート冒頭の『傷だらけの天使』オマージュは川畑さんがアイデア持ってきたわけじゃないような内容が覚書みたいなのに書いてあったので、新房さん案っぽい気がするのよね。コンテからは尺合わせに苦心されてる感じがひしひしと伝わる。



8,『鬼平』 第4話「血闘」 脚本:稲本達郎 絵コンテ:矢野博之 演出:前園文夫 作画監督:谷口繁則、今泉竜太、齋藤樹里、野村美織、渡辺一平太

 『鬼平』はどの話数もそうなんだけど、アクションがめちゃカッコイイ。この回は敵のアジトに平蔵が竹で棒高跳びして侵入し、敵の胸へ刀をぶん投げて突き刺しちゃったりするっていう。バンクではあったけど、撫で斬りにするとともに画面が一回転するあのカメラワーク、バンク元の1話でコンテ切ってる宮繁之さんも凄い。
 特にこの回の見どころは梁の上で戦う平蔵。梁から下にいる敵を斬りつけるっていう構図も凄いけど、滴る血によって上下の距離感にハッタリを聞かせているところが面白い。
 『鬼平』は宮繁之さん、矢野博之さんを始めとして平尾さんだったり神志那さんだったり、毛色の強い演出家さんが参加していて見所が多い。



9,『このはな綺譚』 第5話「梅雨送りし」 脚本:吉岡たかを 絵コンテ:高橋亨 演出:鈴木拓磨 作画監督:安形佳己、山本由美子、樋口博美、黒澤桂子、成川多加志、佐藤綾子、星野真澄、難波聖美、小沼克介
 
 高橋さんの青の使い方が凄く良い。Bパートの彩度を落として紫陽花の青と和傘の赤を強調した画面が印象的。これだけで此花亭とは違う空気感である、というのが強く伝わってくる。
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 あとはフレームを障子や梁で作って、キャラクターの心象表現に上手く使っているのも面白い。
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 そしてその後に青空のもと広げられる虹色の織物。
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 色彩のコントロールによって画面のどこを強調するのか、というのが計算されているようで面白い。そしてBLやBOOKを使って意図的に空間を狭めたりするのも高橋さん演出回の面白いところ。
 『このはな綺譚』は『紅殻のパンドラ』みたいなシンプルなSDキャラが可愛い。



10,『GRANBLUE FANTASY The Animation』 第7話「鉄の巨人」 脚本:滝澤直、永井千晶 絵コンテ:あきとし、斉藤良成 演出:石井俊匡 作画監督:関口亮輔、三木俊明、福士真由美、小松麻美

 斉藤良成さん枠。
 CGの鎧巨人と戦うがごとく暴れまわる斉藤さんアクション。エネルギーを内包した丸いエフェクトってよくよく考えると『なのは』時代からキチンと脈がある進化なのかもしれんよなあ。
 詳細は下記記事で。
 http://zakkanzakkou169.blog.fc2.com/blog-entry-36.html
 来年は原画でガシガシ勝負する斉藤さんも見たい!





 以上。今年は10選悩んだ。『ボールルームへようこそ』、『宝石の国』、『メイドインアビス』、『けものフレンズ』あたりは正直一話に絞れないし、『亜人ちゃんは語りたい』4話とか『進撃の巨人』30話とか『ゲーマーズ!』12話とか『Fate/Apocrypha』22話とか『賭ケグルイ』4話とか『アホガール』12話とか『おそ松さん(2期)』7話とかいろいろあったわけじゃないですか。ということはつまりアニメ的には最高の一年だったということですよね。嬉しいなあ。
 来年はバリバリブログ更新する。自分のためにも文章にして残しておくことを大事にしたい。実写映画の感想も検討中。
 
 来年も素敵なアニメに出会えますように。
 

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2017-01-01(Sun)

話数単位で選ぶ2016年TVアニメ10選について。

 どうも。
 興奮覚めやまぬ内に…と言った感じですが、コミックマーケット91お疲れ様でした。また、3日目「雑感雑考出張所」にお越しいただいたみなさん、本当にありがとうございました。去年、一昨年以上にお話していただける方が増えて、また以前から関わりの合った方にもたくさん会えて…誇張でなく万感の想いです。本当に楽しかったです。ありがとうございました。
 ただまあ色々と反省しなきゃなあと思うところもあったり…漠然とした反省なんで反省のしようがないんですが。また面白いなあと思ったことがあったら新刊チャレンジします。そのときにはまたお越しいただければ嬉しいです。


 さて、2016年もついに大晦日。今年はお仕事がすごく大変だったんですが、何故かめちゃくちゃアニメ見てまして。働く前とおんなじくらい見ていたような。それくらい面白いアニメがたくさんありました。その中から話数単位で10話選びます。

 ルールは
 ・2016年放送のTVアニメ。
 ・1作品1話まで。
 ・順位は付けない。

 思いついた順で書いていきます。



1,『ばくおん!!』 第10話 「こうはい!!」 脚本:大久保智康  絵コンテ:石倉賢一  演出:岩田義彦 作画監督:服部益実、桝井一平、shin hyung sick、清水恵蔵

 この回は主人公たちの1学年下である中野千雨がバイク部に入部する話。千雨は姓が「中野」だし親父は元レーサー。黒髪ツインテールで普段はそんなに感情を表に出さないのに、自分のこだわりには反応する…もう中野梓なんですけど、単なるパクリキャラじゃなくて、千雨のこだわりという要素をブーストさせて「みっともない」キャラクターにしていることがすごく面白い。
 自分が勝手に思っているコンプレックスやプライドにこだわってしまったせいでみっともない状況に立たされるんだけど、周りもそこまでまともなヤツがいないからなんとなく乗り切れてしまう…でも千雨にはそのみっともない自分が残るっていう状況がすごくシュールというか、愛らしい。
 普通中野梓をパクったらこういう方向には行かないんじゃないのかなあって方向に転がる(本当に転がる)千雨というキャラクターの魅力が溢れた回。バイクの排気音で歌う(?)という、これもまたその方向はどうなんだろうなあというEDも含めて好き。



2,『灰と幻想のグリムガル』 第5話 「泣くのは弱いからじゃない。耐えられるのは強いからじゃない」 脚本:中村亮介  絵コンテ・演出:尾崎隆晴 作画監督:清水勝祐、松原栄介

 この回は脚本:中村亮介さんが光る回。中村さんは全話脚本書いてるんだけど、中村さんの今までの作品でのお仕事、そして『灰と幻想のグリムガル』という作品を見てもこの回の脚本に魅力が詰まってると思います。
 ハルヒロ達パーティはリーダーであるマナトを失い、不協和音が生まれ始める。生計を立てなければと焦るパーティ男性陣はメリイをマナトの代役として呼びゴブリン狩りに行くが、「ぐだぐだ」で終わってしまう。
 マナトを失ったこの先のことについて酒場で話す男性陣の掛け合いが見事。仲違いをしたわけではないから喧嘩はするし、会話もする。でもなんとなく居心地の悪さを感じて、キチンと話し合いができない。それでも軽口を叩ける程度の余裕はあって、ハルヒロとランタが「さくっと謝るんじゃねえよ、つまんねえだろ」なんて言い合ったりする。マナトを失ったことによる漠然としたディスコミュニケーション。『ねらわれた学園』で(テーマは恋愛であったが)すれ違いを描いた中村さんだからこそできる掛け合いだったと思います。何気ない言葉の端にキャラクターの内包する気持ちが見え隠れしてて、それは単にシリアスな要素だけではない。言葉の掛け合いの中に見えてくる小さな隙意がいろんな雰囲気を生み出している、そんな1話。



3,『この素晴らしい世界に祝福を!』 第4話 「この強敵に爆裂魔法を!」 脚本:上江洲誠  絵コンテ:亜嵐墨石 演出:ボブ白旗 作画監督:さのえり、大塚八愛、加藤万由子、伊藤智子、南伸一郎、是本晶、伊藤幸

 『このすば』は強引に話をデカくしようとするんだけど結局そんなことなかった、みたいな平和な物語で、すごく好き。この回もアバンでカズマが「クリエイトウォーター」って言ってドンとポーズを取るんだけど、水がちょろっと出るだけーとか、魔王を倒せとカズマに言うくせに内職に励むアクアとか、大したことしてない。
 この回の本筋である暗黒騎士を怒らせてしまって呪いを掛けられてしまった!って部分も結局アクアがすぐ直しちゃう。そんな皆ワーワー騒ぐ割には小さくまとまってしまう、『このすば』のなんてことない毎日感がすごく優しくて楽しい。この回は特にそれが綺麗にまとまってる。みんな本気で慌てたり驚いたりするんだけど、最後は結局大丈夫だったね、で終わる。EDののんびりとした空気が尚更その優しい感じを強調していて好き。
 もう一つ見どころとしてはめぐみんの爆裂魔法。小澤さんの爆発エフェクトがすごい上手。吉成さんっぽくしたり金田さんっぽくしたり…キャラ作画含めて振れ幅が大きいのも『このすば』の魅力。



4,『Re:ゼロから始める異世界生活』 第18話 「ゼロから」 脚本:中村 能子  絵コンテ:永山延好 演出:古賀一臣 作画監督:渡邉八惠子、豆塚あす香、浅利歩惟
 
 スバルはエミリアを救うために何度も間違えて、何度も躓いて、何度も失敗する。レムを始めとして協力者は居たが、それもスバル自身が翻意にしてしまった。疲れ果てたスバルはレムに一緒に逃げようと提案する。
 この回の凄いところは、スバルの口から今まで間違えてきたこと、失敗したこと、スバル自身が自分の嫌な部分、すべてをさらけ出すのだけど、レムにあるスバルへの信頼でそれを肯定したこと。「私(レム)が信じたお前(スバル)を信じろ」とでも言わんばかりの純真な告白…というよりも説得に近い。言葉の選び方と画面構成も上手ですよね。スバルが自身の失敗を話す際に、凍えて死んでしまった時のバンクが入るんですけど、その後にレムからポジティブな意味で「溶かす」という言葉を使ってたりする。
 今まで暗く沈んだ画面であったのに、この回で一気にシンプルな画面に転換したこともお見事。スバルに深く突き刺さった絶望とレムの純粋な信頼のせめぎ合いを、群青の青と散らばる雲、時折影が差す描写が、そのせめぎ合いをストレートに演出していました。
 これもまた『アイドルマスターシンデレラガールズ』23話とおんなじことを言ってしまってアレなんですが、スバルは自分のやってきたことに自信なんか無くて、どこかで自分を疑っていて、最終的に失敗を積み重ねて自分のことが大嫌いになってしまった。そんなあまりにも悲しい経験をしてもなお、レムの信頼を契機にまた立ち上がろうとするっていうのがね…もう…だめだ…。



5,『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』 第4話 「月の輪」 脚本:岸本卓  絵コンテ・演出:佐藤雅子 作画監督:鈴木明日香、米川麻衣、折井一雅

 今まで「繋ぐ」ことをいろんな手法でいろんな視点から見せてきた『ハイキュー!!』がボールを「断つ」ことを見せた回。
 月島が牛若のスパイクを断つために虎視眈々とその時を待っていた。何本かに一本決まればいいと高を括ってブロックを狙っているが、それは百点のうちの一点。たったその一点…でもその一点に込められた大きな快感が月島の左拳を振り下ろした姿に集約されていて、心が震えました。
 「根性無しの戦い」とか「バレー馬鹿たち」とかも良かったですけどねハイキューは…サブタイが良いの多いですよね。



あ…年を越してしまった。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。…続けます。


 

6,『田中くんはいつもけだるげ』 第2話 「弟子入り志願」 脚本:面出明美  絵コンテ:二瓶勇一 演出:福多潤 作画監督:竹森由加、山本亮友
 
 宮野が可愛い回。カメラの位置が全体的に高く(というか宮野が小さい)、主観視点で宮野を見るカットが多い。ちっちゃい女の子が目の前で手やら足やら広げて縮めて、ワーワーやってるのを堪能できます。
 デフォルメや漫符の使い方も上手い。目を丸くするだけの場合もあれば3頭身くらいになるときもあるし、耳が生える時もある。カットを割ってデフォルメになるわけではなく、普通の頭身の宮野の脇にデフォルメの宮野が出てきたりする。かなり自由度が高いキャラクターです。
 てか、飯塚晴子さんがデザインするキャラクターのブレザー女子のふかふか感ってなんなんでしょうね。脇から腰にかけての実線がヒントな気がするんですが…。あと下腹部辺りまでブレザーがあって、ダブついてるのも効果あり…?

 そしてなにより、この宮野というキャラクターを引き立てているのがCV:高森奈津美さん。なんというか、声のエフェクトとでも言えば良いのか。語尾のトーンや声の抑揚で驚きや叫びにタメツメが効いてる…。CMカットのイチゴミルクを飲んだ後の「ぷはぁー!」とか「宮野ですーー!」って喋る高森奈津美さんを聞いて欲しい。声にエフェクトが着いてるんですよ…!



7,『Vivid Strike !』 第4話 「リンネ・ベルリネッタ」  絵コンテ:西村純二 演出:吉田俊司 作画監督:平田賢一、飯島友里恵
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 この1話の良いところは、誰かのせいでというわけでなく、リンネが自身の甘さによっておじいちゃんの最期に間に合わなかったのだと解釈したことですね。自分はイジメであるとか、悪意による動機づけって正直苦手なんですが、リンネは本話を期に、自身に戒めを埋め込んだ。正しいかは置いておいて、リンネが強くなりたいと思った原点だとするならばそれは決して後ろ向きな動機づけにはならないと思うんですよね。そして印象付けとして、おじいちゃんのいないベッドをFIXで見せた後、ドン!とおじいちゃんが眠る画をハーモニー(ではないですね。っぽい処理?)で見せる。この画面だけでリンネがイジメを機に…ではなく、おじいちゃんの最期に間に合わなかったことを機に…と純粋に捉えられると思うんです。
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 また、サブタイが「ベルリネッタ」という姓を含めているのも、当然だと言われればそれまでですが、この1話を見た後だと重みを感じます。「ベルリネッタ」であることの誇りがリンネにあったからこそ、この1話があると思うので。



8,『ステラのまほう』 第5話 「カウントダウン」 脚本:志茂文彦  絵コンテ:こでらかつゆき 演出:山口頼房 作画監督:原田峰文、大谷道子、崎口さおり、薮田裕希

 ゲーム「ステラのまほう」の制作も佳境だが、歌夜からの音源が届かない。椎名とあやめは諦めの言葉を口にする。
 『ステラのまほう』はたまに見せる淡白な反応がすごく好きで。この話でもさっきまで一生懸命ゲーム作ってるかと思ったら「歌夜はもう寝ちゃったのかも」なんて言ったりする。SNS部が「楽しくゲームを作る」ということを目標にしているわけだけども、その「楽しく」の基準なんて曖昧で、キャラクターが楽しくないと思った瞬間、もしくはゲーム作りよりも大事なことがあった時にそれぞれの気持ちの隅が覗く。そこを逃げずに描写しているのがとても良いと思うのです。
 諦めの言葉を口にしてからBGMが無くなり、画面が急に固くなるのも好きです。音源が届いた後の賑やかな感じも。
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 キャラクターにとって、今を過ごしている時間が大事だと思っているわけではない…なんて表現、女の子が集まってるアニメで見ようと思ってもそんな見れんじゃないですか。たまにシームレスで現れる、淡白な様子の描写がすごく興味深かったです。



9,『舟を編む』 第2話 「逢着」 脚本:黒柳トシマサ  絵コンテ・演出:長屋誠志郎 作画監督:新田靖成、島沢ノリコ、佐古宗一郎

  芝居作画の多様性に触れた1話。早雲荘に帰ってきた時のおばあちゃん。馬締の表情だけじゃなくて、体の縮こまる様子をみて「元気がない」と言う。その後二人で食事をとるところ、辞書編集部の話をする馬締は下を向いて入るが視線は固定されているのに、営業部の話をしだすと途端に目が泳ぐ。キャラクターの心象とリンクしている目線の移動で、とてもおもしろいです。おばあちゃんに諭された後もうつむく画が入りますが、落ち込んでうつむくというよりもホッとした表情に見えます。これはどう違うか明確に言葉に出来ないので、印象で書いちゃってるかもですが…。
 特に序盤の馬締は自らの行動に不安を感じているような素振り(肩を落としたり、目線をそらしたり)が多く、馬締の頼りなさが伝わってきます。逆におばあちゃんは振る舞いに余裕があるように感じます。話しているときも肩から上で大きくリアクションを取っているからでしょうか。細かい表情の変化についてはどなたが指示してるんでしょうね。



10,『響け!ユーフォニアム』 第10話 「ほうかごオブリガード」 脚本:花田十輝  絵コンテ・演出:山村卓也 作画監督:池田和美

  あすかが自身の本当の気持ちを飲み込んで、吹奏楽部から去ろうとする。そんなあすかへ久美子は「あすかと一緒に演奏したい。大人ぶるのをやめろ」という。
  このシーン、久美子はこの言葉を最初からキッチリ伝えることはできていないんですよね…久美子はすぐに本音を真っ直ぐ言える女の子じゃないんだっていう…ガラッと変わってしまったわけではなくて、久美子はただの高校生のままなんだよってことがとても良く伝わる訴えかけ。伝わりすぎて久美子がとても、とても愛おしく思える。手振りを精一杯つけて、すごく一生懸命に見える。
 傷だらけでもきれいな鍋に磨き上げたお姉ちゃんを見て、どんなに過去に傷ついたことがあっても自分のやりたいことに実直であるべきだと信じる久美子が、とても良い。

 久美子があすかへ「自分だけが特別だと思い込んで」と言うセリフが好きです。あすかと一緒に演奏したいという、この場では「あすかだけに向けた」特別な気持ちを伝えるのに、あえてこの言葉を選んでる気がして。
 ラストカットには久美子のユーフォニアムの前にあすかのユーフォニアム。横並びではないけれど、久美子の隣にはまたあすかが座っている。あすか先輩だって、ただの高校生なんだ。
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 以上。
 ユーフォのところ書いてたらぼろぼろ泣いてしまった。10選書くの疲れる。
 そして書いている途中で年を越してしまった。改めてあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 いやーほんとに2016年のアニメは面白かった。他の候補としては『NEW GAME』8話とか『紅殻のパンドラ』3話とか『relife』5話とか『DAYS』12話とか『無彩限のファントムワールド』3話とか。『プリパラ』入れられなかったのも残念ですね。こんこん金剛力士像の回かウサチャが自ら食べられる準備をする回のどっちか入れたかったです。

 楽しくアニメが見られればそれでいい。MADは…ちょっと待って下さい。
 

 今年も素敵なアニメに出会えますように。
 




 
2016-01-02(Sat)

話数単位で選ぶ2015年TVアニメ10選について。

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 さて、コミックマーケット89に参加された方、お疲れ様でした。そして「雑感雑考出張所」にお越しいただいた皆さん、本当にありがとうございました。もうこれ売れんだろうなあと思ってたら12時の段階で普通に手持ちなくなりました。感謝。今度参加するときには新刊も引っさげて参加できるよう頑張ります…!

 さてさて、2015年も終わりまして、10選も今年で3年目(正確には4年目)。今年も楽しいアニメが目白押しでした。

 ルールは
・2015年放送のTVアニメ。
・1作品1話まで。
・順位は付けない。

思いついた順で書いていきます。


1,『暁のヨナ』 第21話 「火花」 脚本:森下直 絵コンテ:美袋一 演出:福田きよむ 作画監督:小澤早依子、Kim Bo Kyoung

 ヨナは町の少女達を救出するためにユンと共に囮となり、捕らわれた少女たちのいる船から合図の花火を上げる。
 この回では囮となって捕らわれてからの、ヨナの弱気な部分と心の底にある信念の見え隠れが面白い。力はないけど信念はある。自身の力で生きていくことは決意したけれど恐怖心は拭えていない。そんな微妙な気持ちのヨナの不完全さが物語の振れ幅を増やしている気がします。
 作戦自体も完全なものでなく、潜入したヨナとユンの勇気によって必死で上げた花火は決して派手なものではないんだけど、確実に光がさしたことがわかるラストカットと、前期OPがBGMとしてかかる中、花火が上がった瞬間無音になる演出も良い。「上がった!」と叫ぶヨナ(CV斎藤千和さん)の振り絞った声も良い。「火花」というサブタイは打ち上げた花火とヨナの勇気の心の大きさにかかっている感じ。


2,『純潔のマリア』 第11話 「SI VIS AMARI, AMA 愛を望むなら愛せ」 脚本:倉田英之 絵コンテ:須永司 演出:倉川英揚、渡邉徹明 作画監督:テロップ表記なし

 この回はBパートのマリアがプロポーズしてからミカエルに「彼氏ができたの!」って報告するところまでが好き。純潔のマリアはマリアの感情の昂ぶりを魔法で表現できちゃうのがずるい。ぷんすかぷんすかしてたマリアが「皆ありがとー」とか言って木をもくもく生やしたりモンスターをわらわら出したり…心の躍りっぷりが伝わってくる感じが面白いですね。
 ちなみにこの回は作監表記はなく総作監と作監補だけなんですよね。補う人がいないのに…総作監の二人が作監的ポジションを担ったということかな。


3,『プリパラ』 第47話 「あろまにはナイショなの♪」 脚本:福田裕子 絵コンテ:森脇真琴 演出:小林浩輔 作画監督:戸田さやか、本多恵美、斉藤里枝

 正直みかんのインパクトで選んだ感ある。キャラデザインはそこまでとんがってないのに、渡部優衣さんの声と森脇さんに味付けされたことによってすんごいキャラになってしまっている…。みかんの飯の食い方だけでまず笑える、そんな一話。苺の食い方は特に必見。
 情熱が燃えるみれぃで焼き芋を焼くそふぃについて誰もツッコまず平然と話を進める(そのうえわざわざ次のカットで焼き芋を食う)感じが森脇イズム全開で面白い。みかんお腹減る→あろま肉まんを買うときにもんじゃ作りに誘われる→みかん、あろまの誕生日であることを思い出しケーキ作る の流れがなんかあまりにも不自然なんだけど飲み込めてしまう感じが面白い…というより怖い。
 最近のプリパラはあじみという凄まじい物語ブレイカーが登場しながらも、上手にあじみを扱ってるところに猛烈な狂気を感じる。あじみメインの回は正直面白いというよりも怖い。なんなんだこのアニメ。
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3,『アイカツ!』 第126話 「ぽっかぽか♪オフタイム」 脚本:野村祐一 絵コンテ:佐山聖子 演出:安藤尚也 作画監督:前澤弘美、冨澤佳也乃、松本美雪、鈴木萌、中村千秋

 この回は本編の、星宮世代にもあったオフタイムの緩く柔らかな印象も好きなのですが、なんといってもダンスパートが凄い。
 ステージ自体は小さくて平面的なのに、とりあえず…で作ったカメラワークが一つもなく、「pretty pretty」というタイトルの通り可愛さと楽しさの演出が盛り込まれている感じ。3人のキャラクターがいることを活かした立体的な立ち位置の入れ替え、振付と連動したズームイン・ズームアウト…計算されていてとても面白いです。ダンスカットでよくあるキャラクターフルショットで横パンするカットはサビの数フレーズだけなので、単調というよりもダイナミックさが先行している印象。キャラクターを見せるカット、振付を見せるカット、ステージギミックを連動させるカット、カメラワークを目立たせるカット、どれもが新鮮で、曲のテンポとの連動を意識されているのがとっても気持ちいい。アイカツダンスパートの弱点だと(勝手に)思っていた横への動きも、「かわいくなりたい」のカットの下半身を固定したまま上半身を微妙に横へ揺らす、という動きをみてしまうと、もう弱点無い感じですね。凄い。
 あとはもうあかりちゃんのセリフですかね。たまりませんな。


4,『ハイキュー!! セカンドシーズン』 第12話 「試合開始!!」 脚本:佐藤卓哉 絵コンテ・演出:川崎逸朗 作画監督:宮川智恵子、秋山一則

 ハイキュー1期11話のような「烏野高校が1勝を掴むことに対してどんな人がいて、その人がどんなバレーボールをしてきたかを表現する」ことに加え、将来的に烏野高校のライバルとなりえるチームはたくさんいることを視聴者に知らしめる回。中心は決して烏野高校だけじゃないんだぞってのがハイキューの一貫したポリシーかな、と勝手に思っているのですが、そのポリシーの見せ方のヴァリエーションに感動します。そんでそのヴァリエーションが行き着くところは「ボールを繋ぐこと」に終着するのがまた良いですね。ハイキューは心の躍動がそのまま作画で表現されるので面白い。


5,『俺物語!!』 第1話 「俺のものがたり」 脚本:高橋ナツコ 絵コンテ:浅香守生 演出:渡邊こと乃 作画監督:香月邦夫、濱田邦彦

 浅香さん含めマッドハウス演出人はボーイミーツガールを描くのがあまりにも上手すぎる。漫画調のポップな演出はもちろん、色の華やかさがとても楽しい。表情も豊かなため、逆に淡い色やシリアスな表情をすると画面の印象も跳ね上がります。
 この一話では冒頭の赤鬼が落とした赤い鞠(?)が色のテーマでもある感じがする。冒頭の部分では青や黒が画面全体が覆う中、赤が特徴的だし、猛男をタオルで拭くカットでも事前に白と黒を強調させた上で赤いタオル(本当は白いタオル)を印象的にしています。猛男にとってはタオルが先の鞠のように、他人と親しくなるためのアイテムとして感じていたということでしょうか。

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 こういう画面の印象の振り幅がとっても気持ちいい一話。


6,『響け!ユーフォニアム』 第8話 「おまつりトライアングル」 絵コンテ・演出:藤田春香 作画監督:秋竹斉一

 麗奈の目から見た世界を堪能できる一話。詳しく書いちゃったので下記記事参照。
 響け!ユーフォニアム8話について。
 キャプチャなあ…キャプチャ…


7,『SHIROBAKO』 第23話 「続・ちゃぶだい返し」 脚本:吉田玲子 絵コンテ:許琮、菅沼芙実彦 演出:倉川英揚、太田知章 作画監督:大東百合恵、秋山有希、川面恒介、武田牧子、容洪、朱絃沰、西畑あゆみ

 物語が動き出す場面は決して劇的なものではなく、ちょっとした気づきから方向性が変わってくるってのがしずかに役が回ってくることにもリンクしてて、それがしずかにとってどれだけ待ち望んでいたものかを23話まで見ている側としては十分にわかっている。その状況でアフレコ現場に姿を現すしずかがもう、良いですねえ。バイト先の暗い場所で受けた電話にどれだけの夢が詰まっているのか…非常口の緑の光が日常にあるものでありながら、夢への扉の役割を果たしているのがまた良い。
 最近端から見たら小さな出来事でも、本人にとってはとても大事なことで、それによって心を動かされている…みたいなシチュエーションにすごく弱い。

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8,『ワンパンマン』 第12話 「最強のヒーロー」 絵コンテ・演出:夏目真悟 作画監督:久保田誓

 2015年一番の作画回。至る所からエース級のアニメーターさん集めたらそりゃこうなりますわ。キャラクターの強さを見せるのにあたってアニメーションで表現するという、当たり前でありながらめちゃくちゃ難しいことをいろんなアニメーターさんがいろんな表現するという贅沢すぎる一話。相手の強さを見せることに寄ってサイタマの強さを見せる、高橋矢太郎さんパートは最高ですね。破壊とか攻撃を加えること一つ一つの動作が炸裂する瞬間よりも物質の動きは遅れていたり、別の因子が発生していることを描き込んでいて、インパクトまでの情報量を増やすことに重点が置かれている感じがする。破片の動きの遅さがそのまま画面の情報量になって、ボロスは軽快に駆けまわっているのに威力が重いことが伝わってくる。ただただ圧巻されました。


9,『アイドルマスターシンデレラガールズ』 第23話 「Glass Slippers.」 脚本:土屋理敬 絵コンテ:舛成孝二 演出:益山亮二 作画監督:古橋聡
 
 自分はアイドルマスターシンデレラガールズの1話の時から卯月の笑顔が曇る瞬間と曇った笑顔がどう戻るのか、というところが見たかったのですが、まさに見たいものが見れた一話です。
 この一話を見るまでは卯月は自身の魅力である笑顔に多少の納得をしているのかなと思っていたのですが(心の隅で思っていたのかもしれないけど)、心の底では笑顔は誰にでもできることだと思っていて、それを声に出してしまった瞬間に卯月のすべてが崩れてしまうってのがあまりにも可哀想で、ボロボロ泣きました。他の皆は自分自身の魅力を掴んでいっているのに、自分にはなんにもないと思いながらひたすらにレッスンをする卯月は何を考えていたんだろうと思うともう、可哀想で仕方がない。
 でも自分が絶望をせずに見られたのはOPがあったから。OPでは自分の手の中にはなにもないことを見ながらお城を見上げるわけなのですが(ここも可哀想すぎてボロボロ泣く)、サビで仲間に手を握られながら走りだす卯月がいて、最後には「この笑顔が」の歌詞の部分で笑えている卯月が見られるので、あぁこいつは大丈夫だと思いながら、安心して卯月が必死に自分の「星」を探すことを見ていられるわけです。ボロボロ泣きながら。
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 んでやっぱこの一話のハイライトはBパートの、卯月の中の気持ちをぶちまけるところです。
 「笑顔なんて、笑うなんて誰でもできるもん」というセリフで、笑顔というガラスの靴足り得るものをなくしてしまったシンデレラ=卯月がどんどんと小さな少女になっていく感じがどうしようもなく凄い。気持ちをぶちまけてしまったことにより完全に魔法が解けてしまったように、か細く、弱々しい声。大橋彩香さん凄い。ほんとに凄い。
 んで「笑顔なんて、笑うなんて誰でもできるもん」なんて言っておきながら笑顔もできない卯月ってのも、もう、良い。完全に自分が見えなくなってしまったことが伝わるセリフ。
 んでここは作画も良い。卯月はきっと上のセリフを言う前から笑顔は自分の「きらきらするもの」とは成り得ないと思っていたんだろうけども、それを言葉にしてしまうことに躊躇いもあって、その中で出たセリフだから「笑顔なんて」と切り出す顔はとても勢いが合って凛に向けてぶつけてやろうという意志が感じられるんだけど、言い切るころにはもう下を向いてしまっていて、凛にぶつけるつもりもなく吐露する、という卯月の心象とリンクした作画になっていると思います。卯月にとっては途中からもう誰と話すでもなく、自分の中で考えていたことを自分に言うように、ただつぶやいているように感じていたのかな…と。涙溢れるタイミングも、凛に顔を向けた時ではなく、俯いて「なんにもない、私にはなんにも…」と言った時が涙のピークってのも上手だなあと思った。ボロボロ泣きながら。
 この一話はOPが合ってこそだと思うので、まさに一話選ぶのにふさわしい回かなと思います。ただひとつ許せないことは次回予告がライブの模様を放送、という名の総集編だったということですかね。web公開版の予告ではOPの通り、踏み出す兆候を感じるカットを選んでるので、ですよなあってできるのに…もったいない。
 その後武内Pが「星は今もそこにあります」っていうのも良い。武内Pが卯月の笑顔を信じていることはもうわかっているけど、良い。
 まさに画面と音がキチンとシンクロして表現できている、最高の一話でした。


10,『VENUS PROJECT -CLIMAX-』 第1話 「開幕、クライマックス!」 絵コンテ:中山岳洋 演出:飯村正之 作画監督:古賀誠、藤田まり子

 斉藤良成さん枠。近年の斉藤さんの到達点の一つではないだろうか。いつも以上に巨大感を強調したメカ作画でソルグラヴィトンクラッシャーパンチの如く飛び出す右腕、同ポージングで振り下ろしTU。いつも以上にエフェクトを盛りまくってる感じがして満足度が非常に高い。BGで描いてある月がいきなり四角い破片を撒き散らし爆発するのは大張さんの血なのだろうか…!アクション部分だけは明らかにコンテいじくりまくってるから一つ一つのネタと意図を探るとめちゃくちゃ面白そうである。
 しかしこの 「開幕、クライマックス!」 というサブタイ、的を射ているどころの話ではなかったのがとても悲しい。最終巻も発売されたことだし、総作監地獄から開放され新たな斉藤さんのお仕事を見られることを心の底から楽しみにしております。


 以上10話。
 なお黒子のバスケついてはどの回も良かったので選べませんでした。ダイヤのエースとかベイビーステップとかもそうだけれども、最近のスポーツアニメは真っ向からスポーツ作画と勝負すること前提で作っている感じがして凄い。素晴らしいです。
 あとSHIROBAKOのとこでも書いたけど、最近他人から見たら「それそこまで悩むか?」みたいなことにすっごい悩んだり困ったりする…っていうシチュエーションにものすごく弱い。ここ叫けとかもそんな話だったから、すごく感動した。だから逆に言うとそういうので病んでるーとかいう感想を見るとなんだかなあとなる。なぜそこまで悩むんだかわからん…ならまだ良いけど、病んでるってなんじゃ…というどうでもいい気持ち。
 アニメに関しては今までどおり楽しく見れているので、今年もそんな感じで見れたらいいな。プラスで新たな見方とか発見できればなお良い。あとは見る時間だね。労働は悪なんだね。
 あ、あと今年はMAD作る。作りたいにしとくと今までの記事に書いているように、次の機会に…になってしまうので宣言しとこう。


 今年も素敵なアニメに出会えますように。

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2015-01-02(Fri)

話数単位で選ぶ2014年TVアニメ10選について。

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 さて、コミックマーケット87に参加された方、お疲れ様でした。そして「雑感雑考出張所」にお越しいただいた皆さん、本当にありがとうございました。25部用意していったんですが、ほとんどそのまま持って帰るんだろうなあと考えていたのに、まさかの完売で…もうホントびっくりです。感謝感謝です。
 一応書きたいことを書くって体で書いたんですけど、まあ読んでいただければわかりますが割愛しちゃってるとこもありまして、他の方…ていうかもう名前だしちゃいますけど、アニメ偏報さんのコピー本とか読むと自分のテキトー感が半端無くてダメダメですね。全ては自分の語彙不足、文章構成力不足、熱意不足に起因するわけなので、努力したいと思います。って書いておきながら努力しないところがダメな部分なんだぞ俺。
 でもこれは紹介しておきたいなあってとこはちゃんと書けたような気がしなくもないので、今までの、そしてこれからの斉藤さんをチェックされる時にでも参考にしていただけると嬉しいです。他にも書けてない部分とか、新たに発見したことなんかが出てきたらまた同人誌作りにチャレンジしてみたいです。その時にはどうぞよろしくお願い致します。



 前置き長くなりましたが2014年も終わったことなので、今年も10選やりたいと思います。


 ルールは
・2014年放送のTVアニメ。
・1作品1話まで。
・順位は付けない。

とりあえず思いついた順で書いていきます。


1,『SHIRO BAKO』 第2話 「あるぴんはいます!」 脚本:横手美智子 絵コンテ:平井義通 演出:菅沼芙実彦 作画監督:大東百合恵

 この回はBパートの会議シーンがハイライト。制作日数の関係や演出の方向性から気持ちがバラバラとなってしまったスタッフ陣が、作品のキャラクターについて意思疎通することによってその場に「あるぴん」を出現させ、一つの方向に向かい始める。制作日数等から発生した「現実的な問題」をスタッフみんなが持っている「劇中作品・劇中アニメのキャラクターへの想い」という形でないものから解決策を見つけるっていう流れがアニメファンとして単純にカッコイイなって思います。会議中の会話内容の構成もお見事。アニメファンとしての部分とアニメスタッフとしての部分両面を意識した会話劇になっていました。その場にいるキャラクターが多いのもあって焦点が絞りにくい会話なのに、自然と結論に近づいていっている感じとか、話しているキャラクターの徐々に伝わってくる感情の昂ぶりとか、とても良かったです。


2,『あいまいみー -妄想カタストロフ-』 第6話 「石運び」 脚本・絵コンテ・演出・作画:いまざきいつき

 いやもうこの回のネタが全部好きなんですけど、「なんの用だ、人間たちよ」ってセリフと「お母さんがご飯できたって」って言うヘパイトスの後ろ姿が秀逸。ほのか先輩出てくると大体面白い。


3,『ハイキュー!!』 第16話 「勝者と敗者」 脚本:岸本卓 絵コンテ:宮地☆昌幸 演出:いとがしんたろー 作画監督:高橋英樹、本田真之、小泉初栄

 烏野高校が1勝を掴むことに対してどんな人がいて、その人がどんなバレーボールをしてきたかを表現することで烏野高校の1勝の重みをしっかり伝えていました。走り出したらあとは前へ前へ、となりがちなスポーツをテーマにした作品で、そこで終わってしまった人たちにスポットが当たっているだけでちょっともうグッときちゃうんですけど、ボールをつなぐ、ということと声掛けというバレーボールの基本的な部分に必死にしがみつこうとするキャラクターっていう構図が単純ながら想いがダイレクトに伝わってきて印象的な回でした。


4,『四月は君の嘘』 第5話 「どんてんもよう」 脚本:吉岡たかを 絵コンテ:石浜真史 演出:石浜真史、小島崇史 作画監督:小島崇史

 この回はBラストあたりが本当に好きで、演奏する理由である「何か」がまだぼんやりしている公生が、母を死なせてしまった原因であると思っている楽譜を投げる行為に(でもここの公生の気持ちとしてはこの行為というよりかは母に)固執しているんだけど、それをそこからもう一度「飛び込む」ことを「嘘」っていう表現で後押しするかをりの言葉で、二人に夕日が差し込む。「まぶしすぎて目を瞑ってしまう」公生がかをりをまっすぐ見つめることが出来た瞬間。これが絶妙なタイミングの劇伴と相まって、公生の心象が上手に演出されていました。「嘘」なんて言葉を使っておきながら まっすぐと公生を見つめるかをりがまた素敵なんですわ…。
 作画に注目すると小島さんのデフォルメ調のキャラクターがとても印象的でした。1話通してかをりのふわっふわな感じがうまく表現できていたのはもちろん、けんけんぱの辺りの「誰か待ってるって言ってた」から舌打ちをするまでのカットは、鋭角な線、粗い線、柔らかい線をかをりの気持ちの移り変わりと合わせるように上手に使い分けていて面白いなあと思いました。
 『四月は君の嘘』は6話とか10話とかもいいんですけどね。ピアノの演奏のシーンって各話演出陣の喜怒哀楽の表現方法がくっきりと見えてきて面白いですよね。


5,『ばらかもん』 第3話 「ひとんもち」 脚本:ピエール杉浦 絵コンテ:橘正紀 演出:中村里美 作画監督:松尾亜希子

 大久保瑠美枠ということで。今一番絶叫が上手い若手女性声優は大久保瑠美さんだと思います。劇伴と大久保さんの芝居で序盤から珠子ワールドが形成できていました。
 BL本投げる珠子、すごい上手ですよね。ビビッドレッド・オペレーションの1話の土屋さんパートのやつもそうでしたが、オーバースローで物を投げる作画をするときにトルネード投法を意識した作画にすると、リリースにエネルギーがしっかり繋がっているように感じて良いですね。リリース後の腕の振りと投げた物の動きのズレを意識したコマ打ちも重要だと感じますが、トルネードっぽい感じにすると投げる動作にもう一つポイントを作ることができて、一連の動作に説得力がつくのかも。
 ちなみにこの回の投げる作画は「それっぽい」フォームも上手に描けていますが、各動作のタイミングはもちろん、リリース後のおばけなんかにもこだわりが感じられて素晴らしいです。


6,『大図書館の羊飼い』 第8話 「魔法の本」 脚本:内海照子 絵コンテ:笹木信作 演出:ながはまのりひこ 作画監督:飯飼一幸、南伸一郎、謝夢

 この回は終盤の高台の場面が良い。佳奈は自分自身の暗い過去について劇を演じるように客観的に、静かに話す中で、徐々に主観的になっていく。道化役を演じなければと思っている佳奈に、「欲しいことを諦めるな。どんなことでも受け止める」と、こちらも王子様を演じるように気持ちを伝える京太郎。その時佳奈の気持ちが溢れ

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「自分の心に正直になりたい!」
と右手を挙げて想いを爆発させる。
その時にチョイスした顔がこれっていうのと、その後の二人で手を取り合うと同時に朝日が指すってのがちょっともう凄すぎる。
 いつもニコニコ楽しそうにしている佳奈がこんな表情で泣くってのがすごく好きで。んでその二人がこのポーズのまま朝日は昇り始めるってのが寸劇っぽさを醸し出していて、コミカルなんだけど直球な感じがすごく良くて。あとこの前の佳奈の独白はイヌカレーっぽさが残ってますよね笹木さん。
 あとあと『大図書館の羊飼い』全体がそうなんですけど、特にこの佳奈っていうキャラクターは線がゆるっゆるでそこがまた楽しい。
 『大図書館の羊飼い』、ほんともう最高です。皆さん見ましょう。


7,『アイカツ!』 第102話 「アイカツしよう☆Ready Go!!」 脚本:加藤陽一 絵コンテ・演出:佐藤照雄 作画監督:門智昭、渡部里美

 3rdシーズン始まりの一話。部屋で話すあかりとスミレの会話の空気感が良かった。友達になる過程というか、その途中であるような微妙な距離感というか。アイカツの2ndシーズン終盤の回から3rdシーズン終盤の回はあかりの不安定な感情であるとか、アイドルとして未熟な感じとか上手く表現できてますよね。最近のあかりちゃんはしゃんとしてしまっていて少しさびしいです。


8,『蟲師 続章』 第3話 「雪の下」 絵コンテ:長濵博史 演出:下司泰弘 作画監督:馬場充子、加々美高浩、馬越嘉彦

 雪の静けさがとても印象的な回。踏み込む足の音、水の音、そして雪の音がキチンと表現されていました。蟲師はキャラクターの動作一つ一つを大切にされているような印象。


9,『中二病でも恋がしたい!戀』 第6話 「躊躇いの…筑紫島周遊(ツクシノシマ・トラベリング)」 脚本:花田十輝 絵コンテ・演出:北之原孝將 作画監督:内藤直

 この回は物語的にもターニングポイントな感じですが、キャラクターの感情が強調されているように正面から表情をとらえていることが印象的でした。照れるという感情表現がこの回だけでも様々なバリエーションで伝えられており、面白かったです。


10,『スペース☆ダンディ』 第22話 「同じ馬鹿なら踊らにゃ損じゃんよ」 脚本:信本敬子 絵コンテ:米たにヨシトモ 演出:三好正人 作画監督:亀田祥倫

 それはなぜ起きたのか。今まさに生まれ出ようとしていた生命と、ダンディに秘められたパイオニウムが融合し、想像を絶する力を発揮したということだろうか。
 そして一つの惑星が終わりを告げ、ここに新たな星が生まれた。この星は何億年ののち、いずれまた惑星グリースと呼ばれることになる。だが、星自身はそう呼ばれることをきっと知らない。


以上10話。
 なお、話数で選ぶことができなかったため、10選にハンターハンターは入れませんでした。でも昨年やってたTVアニメで一番面白かったのは間違いなくハンターハンターだと思います。ハンターハンターはどこがいいとかじゃなくて、トータルでずば抜けていた。キメラアント編は特に良くて、DRを含むローテ作監陣が全員上手くて、その上澤田さんやら菅野さんやら、ここぞというアクションを担ってくれる人材がきっちりそろっていた。長い話数を上手く利用して、一人一人のキャラクターの行動の思惑と背景を重厚に描写できていた。画面内の空気感を各話スタッフが共有できていて、他作品以上に1話1話が次の1話にバトンを繋げる意志が感じられて、重く苦しい作品なのに、それがとっても爽快でした。

 今年も素敵なアニメに出会えますように。

2014-01-03(Fri)

話数単位で選ぶ2013年TVアニメ10選について。

あけましておめでとうございます。早速ですが昨年のアニメで面白かった回を挙げてみたいと思います。


ルールは

・2013年放送のTVアニメ。
・1作品1話まで。
・順位は付けない。

…らしいです。ほとんど人が来ないようなネットの隅っこブログでルール則らんでもいいような気もしますが、なんか縛りあったほうが面白そうなのでそうします。


1,『あいうら』第1話「前日」 脚本・絵コンテ・演出:中村亮介 作画監督:細居美恵子
 
 ブログにも書いたあいうらはやっぱ1話。『ねらわれた学園』では動く楽しさの強調、でしたが、中村さんが冬コミで出した同人誌にも書いてある通り、繊細な動きを見せることに重きをおいた『あいうら』という作品の良さを凝縮した1話でした。女の子たちの会話が中心となる作品は多々ありますが、5分という短い中でそのキャラクター達の見どころを凝縮していた印象。時間が短いことを短所にしていない、詰め込んだ内容でありながら時間を贅沢に使っている(ゆっこんの辛いもの食べるカットとか)ように感じる…そのペース配分がとても上手な1話でした。


2,『ゆゆ式』第9話「まじゃりんこ」 脚本:ハラダサヤカ 絵コンテ・演出:博史池畠 作画監督:沈宏

 『ゆゆ式』は3話とか10話とかもいいんですけど、9話も良い。『ゆゆ式』は作品中でキャラクター達が「空気を読む」ことが多いんですけど、それが結構強調されすぎちゃってることがあって。確かにそれが「こいつらそこらへんにいそう」って雰囲気を作っていることはあるんですけど、逆になんとなくギクシャクした印象を受けることもあるんですよね。個人的に。そんな中9話は相川・岡野・長谷川組が絡んでくることもあって、その空気の読み合いをいつもの3人組のソトから眺めているような画面が多い上、パン人間の件は同じクラスの子の喧嘩中かな、というセリフを入れることによってウチとソトの関係の違いでどれだけ様子が違うのかが自然に見て取れて面白いシーンだと思います。ついでに柚子の「私らの会話ってアホみたいかな」の件がまた主役3人にカメラが向くというよりも、そこら辺にいる子を眺めている要素につながっているような気がします。逆に長谷川&岡部の「日向ってお金持ちだよな」からの会話は主役3人組とは違う女の子のグループの雰囲気をウチともソトとも感じられない、ぼんやりとした空気感で垂れ流しているのがまた印象的だったりします。それ以外にもいつものグループじゃないキャラクター達が深く絡む回なので「いつもの雰囲気」・「ちょっと違和感ある雰囲気」が入り混じった密度の濃い話数じゃないかと思います。

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いつもの画面から
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ソトから見た意識を画面に

上の画像のもそうですが、博史池畠さんは「沈黙の間」の空気感を作り出すことがとても上手に感じました。


3,『きんいろモザイク』第1話「ふしぎの国の」 脚本:綾奈ゆにこ 絵コンテ・演出:天衝 作画監督:大河原晴男、谷拓也

 よく海外から来た女の子キャラを見ますが、意外とそのキャラクターの過去であったり、その子の母国での話って少ないですよね。そういうふうに考えるとシネスコやBGMの使い方もより特殊というか、他のアニメとは違う部分でのアプローチが際立っているように感じます。異国の雰囲気づくりとしてBGMもそうですが、言葉や背景にも手が加えられているのも良かったと思います。


4,『たまこまーけっと』第1話「あの娘はかわいいもち屋の娘」 脚本:吉田玲子 絵コンテ・演出:山田尚子 作画監督:堀口悠紀子

 女の子のかわいい芝居が良かったって意味では『けいおん!』から感想はあんまり変わらないんだけど、山田さんはあんだけかわいい芝居を山ほど生み出しておきながらまだ手に変え品を変え、キャラクターこねくり回して可愛くしちゃうのか!って驚いた回。『けいおん!』の頃からよく見た手の芝居とかに加えて鼻こすりであったりおさげであったり手の振り方であったり、山田さんから出てくる何気ない仕草のアイデアがとにかく楽しかったです。


5,『帰宅部活動記録』第11話「花の名前」 脚本:雑破業 絵コンテ:矢野孝典 演出:古賀誠 

 『帰宅部活動記録』はしりとりする回とかも面白かったんですけど、やっぱり11話の頭の話が一番好きです。桜と牡丹が友達少なかったという設定が11話までほとんど生かされていないのですが、この話の中でその「友だちがいなかった」ということに説得力を与えることができていました。牡丹が自己紹介をする時の「ゲーム好きです、だ」とワンテンポ遅れて思い出す所は、独特な間と声優さんの淡白な演技によって印象的なシーンになっていました。


6,『アイカツ!』第50話「思い出は未来のなかに」 脚本:加藤陽一 絵コンテ:矢野雄一郎 演出:小山田佳子 作画監督:澤木巳登理

 終盤の畳み掛けるようにアメリカへと向かっていくいちごやそれに対するあおいの想い、表情の変化ももちろん良いんですがやっぱりカレンダーガールで1期を終えたということに感動しました。50話に渡って色々なことをやっているにもかかわらず、すべてをアイドル活動の一括りで突っ走ってしまう男気あふれる『アイカツ!』の区切りにふさわしい回だったと思います。個人的には今までいちごの傍らにいながらそのことを強く表現しなかったあおいの気持ちを爆発させている部分にスタッフの方の愛を感じました。


7,『あいまいみー』第11話「バタートランス仙人」 脚本・絵コンテ・演出・作画:いまざきいつき

 ナレーションのテンポとコミュ障の表現が秀逸。やけに頭にこびりつくサブタイトルのせいで定期的に見直しますね。


8,『てーきゅう』第21面「先輩とメジャー・リーグ」 脚本・絵コンテ・演出・作画監督:板垣伸

 すごい強そうなキャラクターが実は試合に出ないってのがもうたまらなく好き。


9,『ラブライブ!』第4話「まきりんぱな」 脚本:花田十輝 絵コンテ:渡邉哲哉 演出:綿田慎也 作画監督:星野玲香

 日向と影の使い方がとてもおもしろい。木の下での押し問答のシーンは数分の間で移り変わるキャラクター同士の関係とその変化が緻密で、引っ張る2人の気持ちと揺さぶられる花陽の気持ちが画面に映し出されているようでとても好きなシーンです。ラストは夕日ってのがまた印象的でした。個人的に画面構成からキャラクターの気持ちを見るという意味では2013年で一番記憶に残る回だったと思います。


10,『イクシオンサーガDT』第24話「K1」 脚本:大和屋暁 絵コンテ:二瓶勇一 演出:関野関十 作画監督:斉藤良成

 斉藤良成さん枠ということで。イクシオンサーガの斉藤良成さんは新しいこと、というよりは今までのアイデアを改良して、より個性的な作画を目指して取り組まれていたような印象です。過去の参加回を見た後にこの回を見ると数年前に似たようなことやってることをパワーアップしたり、改良加えてみたりしながらアクションシーンを構築しているような。またアクションに関してはほぼ全てにおいて関わっていると思うので最近の斉藤良成さんを堪能するにはこれとない回だと思います。



 以上10選でした。他にもいろいろと面白いと思う作品はあるものの、話数で選ぶというよりかは1つの作品として見たほうがいいんじゃないか、と思うものだったりしたので上記10話を選びました。あと思いついた順。…ゆゆ式だけなんか無駄に長くなっちゃった。



今年も素敵なアニメに出会えますように。
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ざっかん

Author:ざっかん
ブログ移転しました。
http://zakkanzakko.seesaa.net/

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