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2015-11-15(Sun)

アニメーションスタジオ TRIGGER 大塚雅彦の演出講義 2回目について。

 どうも。隔週で演出講義やってたので隔週更新を考えてましたがダメでした。とりあえず一段落ついたので、またぼちぼち更新していきたいです。

 今冬のコミケも受かりました。嬉しい。
 今回は「火曜日 東地区 "チ" 55b」、ということで1日目です。アニメーター島の日と離れちゃったし誰も来なそうですが、参加したついでに寄ってくれると嬉しいです。今のところ原田大基さんの作画的見どころのまとめと、アニメアール内での原田大基としての役割はなんだったのか、みたいなこととか、版権掲載と寄稿したもののまとめとかを考えてますが、今回はホントに出せそうにない気がするのでその際には既刊の斉藤さんの本持って行きます。ごめんなさい。全ては仕事が悪い。労働は悪。


 今回は前回に続き、大塚さんの演出講義第2回目について書きます。今回は「アニメの芝居のつけ方」というテーマで、キャラクターの芝居において演出が注意すべき点や、有効的な画面構成、演出指示についての話が中心でした。

 今回も理解の間違いや聞き間違い、雑な整理点等あるかと思います。それ違うんじゃない?ということありましたらご指摘お願いします。斜体の字は私が話し聞いてて思ったこととか微妙に関係ない感想です。誤字脱字は直さない。



  ○アニメと実写で感じた演出の違い

  実写の現場も経験している(庵野監督『ラブ&ポップ』で監督助手)大塚さんか見たアニメの現場と実写の現場で感じた違い
  1,絵コンテ
  実写で絵コンテがあるものは滅多にない。実写の撮影現場ではまず芝居を通して微調整を行うのが基本。動線の確認やセリフについても演者が実際の芝居を行う中で調整していく。アニメにおいては素材はフルで使うことが基本であるため、絵コンテにて事前に整理する必要がある。
 
  2,画面構成に関する部分
  実写では動きながらセリフを言う、ということもごく自然に行われているが、アニメで動きながらセリフを言うのは原動画枚数の制限等から難しい。そのため実写にて要求される、演者をどう動かしながら芝居をするか、ということよりかは、アニメはいかに動かさず画面をキープするか、ということが重要視される。
  アニメでは前からカメラを向けるか、横からカメラを向けるかだけでも原画マンのスキルが問われるため、画面構成にも配慮する点が多く出てくる。三次元的な動きをすると作画の難易度は上がる。
  アニメでは日常芝居は視聴者が見慣れていることなので、違和感を出さず表現するが難しい。作品においてキャラクターに感情移入してもらうのはとても重要な事だが、そのためには日常芝居が大事になってくる。ないがしろにできない点。食卓を5人が囲んでいる…というような画面もアニメにおいてはすごく難しく、手間のかかるカットだと認識される。



 ○芝居における表情の重要性
  TVアニメでは表情が一番大事。日本人は特に表情に注目する傾向にある。表情に寄って悟る、という文化があるため、話しすぎることは敬遠される。逆に欧米はジェスチャー混じりで話すことが基本であるため、動きまわる芝居が中心(ディズニーやピクサーが代表的)。 
  上記が基本、ではあるが必ず表情を伝えなければならないというわけではない。
  例としてマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督『岸辺のふたり』。

岸辺のふたり1
 
  基本的に画面が遠景であり、キャラクターの表情を見せることはない(自分も見たけど、多分一切ない。シンプルなデザインだけど肩を落としたり俯いたり、そういうことで表現している)



 ○画面構成についての実例
 
  1,長回し
  デジタルでの撮影となった今では長回しも難なくできるが、アナログ時は撮影処理に一つ間違いがあると一からやり直すことになってしまうため、撮影スタッフには非常に不評であった。
 
  アナログ時代の長回しの例として、『母をたずねて三千里』1話(高畑勲演出)。

母をたずねて三千里
 
 約一分の長回し。マルコの回りにいた群衆の人々が離れていくカット。カットを割っての表現でもおかしくはないが、マルコの頑なな意思を強調するため、長回しをしている。『母をたずねて三千里』の高畑勲さん演出回に顕著に見られるのはドキュメンタリー的な、客観視するような冷たい画面。上記画面においても群衆のカットを入れるでもなく、表情が大きく動かないマルコを突き放すように、一直線に映している。
 他にも『じゃりン子チエ』6話の高畑勲さん演出回でもドキュメンタリー的な客観的なカットが見られる。チエの虚無的な感情を映す。(こちらのブログで触れられています。ページ中段、マラソン大会のあとで… http://gugugu001.blog70.fc2.com/blog-entry-105.html
 

 逆に宮﨑駿さんはキャラクターに入れ込むタイプ。主人公と同化してしまうような画面構成。
 例として『となりのトトロ』。暗いバス停にさつきがポツンと立っているシーン。主観のカットの使い方が抜群にうまい。
 さつきの孤独感を強調する、薄暗い画面。『風の谷のナウシカ』でも飛行船が不時着するカットで主観を使っている。キャラクターと同化するような臨場感あるカット。

 2,上手下手
 演劇用語から来る言葉で、観客から見て右側が上手と呼ばれ、左側が下手と呼ばれる。この上手下手の位置関係を意識した画面構成をする演出家もいる。
 富野由悠季さんが典型的な例。富野さんは上手から主人公を登場させることが多い。
 この人物配置は富野さんの演出面からの考え等もあると思うが、アニメーションにおける法則を念頭に置いて作っているという可能性もあるのでは。主人公は作品においてアニメーターが描く回数が多い人物であるため、右利きの人が書きやすい、左向きのキャラクターになるよう主人公を配置しているのでは。アニメーターのストレスを減らす実務的な要素からくるのでは…?一つの理由かもしれない。
 ちなみにデヴィッド・リーン監督『アラビアのロレンス』においては下手から上手への方向で進行方向が一貫している。

 3,手法にこだわらない画面構成
  岩井俊二監督『花とアリス殺人事件』では、上述したアニメーションは動かすな、常識を意識せず作っている。
  アリスと陸奥が会話するシーンではモブを含めて動き続ける。ロトスコによる作画ということもあるが、作画の崩れを気にせず、スーパーアニメーターがいない条件(磯光雄さんの名前があるけど助っ人的な役割らしいし…という話も大塚さんからあった)の中で作ることを前提として画面を考えているように見える。

花とアリス2
 
 (大塚さん曰く、アリスがバレエを習っているっていう要素も動きで盛り込みながら、会話をしながら芝居が進む・・・ということができているとのこと。)

 4,大塚さんがアイデアを得た画面構成
   ジェームズ・アイヴォリー監督『日の名残り』。最後の別れのデート的なシーンでベンチに座る。演者の衣装を含めてモノトーンが強調される画面内で、後ろの壁は黄色。しかし、暗めの黄色であり、2人の心情のあたたかみ、一瞬の幸せを表現したような画面になっている。
 日の名残り

 これに影響されたのが『天元突破グレンラガン』17話(大塚さん演出回)。惹かれ合う二人が会話するカットで、青だと冷たい印象になってしまうため、暖色系である、上記のようなオレンジ色を指示した。キャンドルっぽくも見える感じになった。画面内の色でも大きく印象を変えることができる。

グレン
グレン2
 (街の遠景って言ってたから上のカットかな?暖色系が強調されてるのは下のカットだけれども)

グレン3
(ちなみにこの後、幸せだった二人がこんな感じになって引き裂かれてしまうという。その時の画面の色は青。17話は青とオレンジが強調されて使われている感じがする。ロシウが画面の中心に来るときは青いモニターが画面を覆い、カミナの銅像前ではオレンジ色の夕日が指す。)



 ○セリフの測り方
  セリフの長さを決めるのも演出の仕事。止め口パクにするかどうか、セリフの長さは何秒か…といったことを決めるのが要素の中心。「おはようございます」というセリフひとつとっても、ダルそうなのか、ハキハキしているのか等、状況に応じて話す長さは違う。一音三コマが基本だが、話し方で多様に変化する。役者に近い演技で実際に演出が演ってみることもしょっちゅうある。でも演出がやると棒読みになりがちなので、短くなってしまいがち。
 『天元突破グレンラガン』では、カミナ役の小西さんが啖呵を切るところはコマ数を増やしてじっくり聞かせるようにする…というような測り方もしていた。演者によって長さを調整することもある。
  口パクのパターンは基本3枚。開き口・中口・閉じ口。開き口だから「あ」とか「お」の音だ、と考える人もいるが、映像内ではあまり使い分けても効果は薄いと感じる。セリフの長さに合わせて3枚を使い分ける。…ディズニーは3枚では済まないけれど。

  (ここで『ニンジャスレイヤー』の口パクをするカットを用いて口パクの例)

  台詞を言い切ったあとに開いた口が残ると、口パクが合っているようにみえる。つまりセリフより長い時間空き口が残っていても違和感がないならそのまま完成画面として使うことができる。また、口パクがセリフより先行して動いてしまっていても違和感がない場合があるため、前後の許容範囲は広い。
  逆に音に合わせる口パクになっていまうと、口の動きにバリエーションがなくなってしまいがち。単純に口が動いているように見せるためには3枚をランダムに利用することが効果的。また、「ん」の発音に閉じ口を使えばいいというわけでもない。前後の音との関係性で閉じ口を使わなくても「ん」を表現できる。閉じ口が有効的なのは「ぱ」行や「ま」行。ブレス(セリフとセリフの短い隙間に閉じ口を使うこと)を組み合わせることにより、更に口パクにバリエーションが生まれる。しかし演者にとっても口パクが合わせにくいと感じてしまうデメリットも…。
 上記内容はスケジュールに余裕が無いと、こだわれない点でもあり、また演出の好みがでる部分でもある。

 さらに、こだわりポイントとして基本3コマの口パクに2コマの口を入れたりして、口が早く回る部分を作り、ランダム感を出させることも可能。

 実際の人が話すところを観察すると、セリフの終わりは閉じ口ではなく半開き(=中口)のほうがリアルに近いことがわかる。そのかわり半開きの顔が残るため、締りのない顔になってしまいがち。閉じ口で終わったほうがやはり問題はないかもしれない。

 『新世紀エヴァンゲリオン』ではカットの終わりを閉じ口にし、閉じ口を6コマ見せていた。これによりセリフの歯切れの良さを伝えることができる。勢いの良いセリフなどは開き口と閉じ口だけを使い、最後の閉じ口を6コマで見せるとメリハリを感じさせる口パクになる。



 ○Q&A
 
 ・3Dアニメと2Dアニメの芝居の付け方に違いはあるか
  基本的には変わらないが、芝居のチェックの仕方が異なる。2Dは絵の上で修正を加えるが、3Dでは既に完成画面に近いものが出来上がってきて、それを映像としてチェックするため、その映像を見ながら修正点を口頭で指摘しなければならない。3Dではその段階で関節を増やしたりすることはできないため、デフォルメや新たな大きなアクションをつけ加えることはできない。3Dの打ち合わせで画面に紙を重ねて絵を描き、修正点を伝えたこともあった。
 そのため演技プランに煮詰まった時、折衝できない時は2Dのほうが打開しやすいと感じる。

 ・日本のアニメに外国人のキャラクターが出てきた場合はジャスチャーを多めにつけたりすることはあるか
  違和感が出てしまうため、日本人キャラクターと同程度しか動かさないのが基本。その上で作品のニュアンスに合わせ微調整
 する。




 以上。自分の気になったところ、残したいところ以外は端折ったところもある。
 口パクの話はめちゃめちゃおもしろかった。このダメダメなまとめで魅力が伝わるかどうかはわかんないけど。
 クセのあるセリフの時の声優さんの芝居と口パクの動きとかコマ送りしたら、なにか新しい見方が生まれてきそうな予感。


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アニメ『グランブルーファンタジー』に斉藤良成さんがメインアニメーターとして関わるようですよ。絶賛応援。

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