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2018-03-25(Sun)

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』10話について。

 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』10話はアンの成長をとそれを支える複数の存在、その関わり方が多方面から演出されていた。

 
 まず、クラーラの命とアンの未来という部分において、今を生きる姿と未来を見つめる目線が印象的だった。この2つは光の加減とキャラクターたちが居る部屋に寄って表現されていた。
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 サンルームは未来を見つめる場所として。アンはクラーラと離れて退屈だと感じる今その場所を優先するが、その意思とは隔絶されたところとして、サンルームはある。クラーラから見ると、今のアンとあえて壁を作り、未来のアンに注力する場とも言える。
 サンルームの存在含め、この話数において入射光や強い光は未来を想起する使われ方が多い。アンにとっての未来は必ずしも肯定的では無く、今現在の母との生活、今現在の退屈との付き合い方に重きを置くアンにとっては邪魔者に感じるのかもしれない。

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 離別し、未来的に一人になってしまうアンの存在に涙する母は、今を重視するアンにとっては受け入れがたい。クラーラとの今を奪うヴァイオレット、そして未来を見つめる場としてのサンルームは、アンにとって漠然とした「よくない」空間に映っていたのかも。

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 寝室はアンが唯一クラーラに甘えられる環境にある。逆に言えば、クラーラが今のアンと向きあえる空間。サンルームに居る時はどうしても今のアンを引き剥がす感じになってしまうから、クラーラの根底にあるアンへの愛情を見せるために用意している、みたいにも感じた。

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 応接間(?)はその中間に位置する。アンの遊び相手をする人形としてのヴァイオレットが居る空間。人形遊びをする幼いアンを登場させることも出来るし、今の母の状況を汲んで振る舞うアンも登場させることが出来る。ここでは特に状況下(時間を含む)によってアンの様々な面を覗かせるための入射光、環境色が上手に活用されていた。
 隙間から俯瞰して映す、1枚目の画面はアンだけ、もしくはアンとヴァイオレットだけの空間のときに使われている。クラーラの目から離れたときのアンを垣間見るような画面。



 アンの成長を表現するのに木々がモチーフとして活かされていた。

 今の私を見て、というアンだが、未来のアンを含めて愛する母にとっては、それを受容することは出来ない。
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 アンの孤独感を強調するような路肩に立ち並ぶ木々。広い草原の中にポツポツと並ぶ並木道の木は光や風を全身に浴びなければならず、その立ち尽くす姿は孤独を感じる。
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 そこに現れるヴァイオレット。アンが全身に浴びる未来という強烈な光を、支柱のようにヴァイオレットが支える。
 自動手記人形として、依頼人を知り、その上で未来を見つめる手紙を描く。今と未来を繋ぐ橋渡し役としてもそうだけど、時には寄り添い、共に過ごし、感情を共有する。

 アバンの枯れ木は1話の1カット目と重なる。
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 再び芽吹く命と枯れ行く命。

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 ただ枯れた後には落ち葉が溜まり、それが新たな生命を導く役割を担う。
 クラーラが未来のアンへ向けた書いた手紙もおんなじような役割。葉を落とし、一つのサイクルが終わりを迎えるけれども、違う形で生き続ける。
 ここで引用するのが正しいかはわからないけど、ヴァイオレットがアンへ話した紅茶を飲めばいずれ土に還る、というセリフも、ヴァイオレット自身も人の生き死にのサイクルの中にいることが強調されるセリフだと感じた。
 アンとヴァイオレットの別れの間際にもその話があって、アンはその時ヴァイオレットの暖かさを知る。単純にヴァイオレットを人形だと勘違いしていたこと、紅茶の行方を聞いたことを恥じているような表情でもあるのだろうけど、ヴァイオレットと、ヴァイオレットの暖かさからの離別にも感じた。

 自身を支えてくれた人たちとの離別を前に有限の暖かさを知り、成長するアン。立ち並ぶ木々と同じく、支柱が無くなり、独立した存在へと近づく。
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 木々のシルエットと共に小さなアンのシルエット。モノクロームな画面から喪失感とともに孤独の印象が強く出るが、
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 それを経験と言う名の栄養とするように、アンは成長していく。入道雲が高く伸びていく様がとても力強く感じた。
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 そして今度はアンが、誰かの支柱となる。


 空間の分け方と光の加減、木々のモチーフによってアンの多面的な感情と、それを成長させていく周りの人達の感情を両立し、互いに尊重しながらも成長し続ける命への愛情を表現する一話だった。主人公であるヴァイオレットにも感情を表に出す様が増えてきて、ヴァイオレットの成長も印象的で、見ていて微笑ましかった。
 モノローグ、タイムラプス、義手の魅せ方、花…『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は作品の統一感を意識する部分が多いけれども、だからこそ一話ごとのテーマに深く入り込むときには各話の個性が強くでている気がする。この回だとアンのモノローグで最初のセリフが「お人形が歩いてきたの」。アン役の諸星さんの、少し幼めな芝居もあって、シンプルだけどアンというキャラクターがスッと入ってくる。ヴァイオレットへの見方の移り変わりを描くという点でも凄くシンプルな始まりで、その後の移り変わりをみるだけでも面白い。

 小川太一さんの演出回も、一度おさらいして整理したいな。
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2018-03-13(Tue)

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』9話について。

 
 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』9話は今の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を形作っているものをヴァイオレット自身が認識する話だった。
 空白となってしまったと感じるヴァイオレットの心はただただ自分の原点(ギルベルトと兵士としてのヴァイオレット、そしてギルベルトからの命令)を闇雲に探す。その原点、または過去の象徴として義手が重要な役割を果たす。そして今のヴァイオレットを形作るものとして、再び世界やそこに生きる人々にもスポットライトが当たる。

 過去の象徴としての義手。
 義手はヴァイオレットにとって失った両手と喪失したギルベルトを想起させる。無骨で、何かに触れると強い金属音が響く義手についてあらためて考えると、むき出しになったギルベルトへの想いであったり、ヴァイオレットが整理できていない心で燃え続ける尖った感情とも受け取れる。
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 その義手で死んだギルベルトを探し続ける。ボロボロに汚れる義手にカメラが寄る。むき出しの感情がギルベルトの死を理解して酷く傷ついているように感じる。

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 かつての自分の幻影を見るヴァイオレット。べネディクトの「引っ張って悪かったな」っていうセリフと、ホッジンズの「ギルベルトの命令がなくても生きていけるはずだ」っていうセリフの後だからというのもあって、「ギルベルトが世界のすべて」が色濃かった頃のヴァイオレットを置き去りにして、強制的にギルベルトと引き剥がされてしまうような印象を受ける。
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 夢の中でギルベルトから「多くの命を奪ったその手で、人を結ぶ手紙を書くのか」と言われ、血に染まる義手。生身の手は無くなっても、してきたことは消えない。

 個人的に一番印象的だった義手に絡むカットは、夢から覚めた後。
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 義手で机の上を薙ぎ払う。夢の中で言われた言葉は今のヴァイオレットを否定するような言葉。今を象徴する本、度々人の心を象徴してきたランタンを払い除ける。
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 犬のぬいぐるみも投げ捨てようとするが、投げられない。犬はヴァイオレットの原点たる頃の象徴。そこだけは揺るがない。
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 その揺るがないものを築いてくれたギルベルトがいないのであれば、死ぬしか無い。でも自分で首を絞めて死のうとしても死ぬことはできない。多くの「いつかきっと」を殺してきたヴァイオレットの両手であるのに、「いつか」を無くした今のヴァイオレットは殺せない。無力を感じる義手の演出。

 
 
 

 初めて自分宛ての手紙を受け取ってからは、世界はまた色づき出す。
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 手紙を受け取ることは嬉しいこと。その手紙をうけとることの嬉しさを、ヴァイオレットは与えることが出来ていた。失うことを繰り返した両手で、誰かに与えることが出来ていたのだ。
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 世界の中でヴァイオレットがつないだ手紙の輪の断片を見つける。断片でありながら今までのヴァイオレットが受け取ったもの、渡したものが強く伝わるシーン。凄く良い。

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 8話から続いたヴァイオレットの過去と現在。すべてが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を形作るもの。サブタイトルはホッジンズの言葉を通して、空白だったヴァイオレットの自己を、明確に確立したような印象を受けた。

 感情を知ることに対してもポジティブな部分だけでなく、ネガティブな面からも描かれていて良かった。感情を知れば知るほど自分が過去に行ってきた未来を断つ行為の重たさを理解するけども、暖かな感情を知ることも出来た。そのすべてを克明に映し出す9話は、ヴァイオレットの見上げる太陽のようにただただ眩しく光る。
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 その名が似合う人となれと願ったギルベルトの想いをあらためてブローチに刻み、ヴァイオレットは燃える心とともに再び歩き出す。
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 その他、気になったところとして、炎の表現。
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 4話のアイリスと奥底に触れる対話をしたときのように、裸の火が灯る中、エリカとアイリスの手紙を読む。
 制御できない炎と打って変わって、コントロールできる「燃えている」に映る。
 直接話すことが出来ない状況でも相手の感情を受け取ることが出来る手紙は、今後のギルベルトとヴァイオレットの間でも作用するものがありそう。
 
 
2018-03-07(Wed)

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』8話について。

 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』8話は7話のサブタイトル「        」の内を垣間見るような話だった。
 言葉で感情を伝えることを理解し始めたヴァイオレット。そのヴァイオレットが言葉にはできないほどの大事な存在と、その喪失。ギルベルトがヴァイオレットにとって「世界そのもの」になった過程を描くことで、ヴァイオレットに突きつけられた喪失感を如実に知ることになる。


 ギルベルトの死を認識することについて。
 ヴァイオレットは死の重さを認識したからこそ、「世界そのもの」であるギルベルトの死を受け入れられない。
 その「受け入れられない」の表現として、ヴァイオレットの表情をなるべく見せないようにする画面が多い。表情を見せないことによって、想像せざるを得ない。感情をほとんど顔に出さないヴァイオレットの表情を推し量ることは難しい。その状況下で、ヴァイオレットが「ギルベルトが未帰還なのは事実か」と声を張り上げる。
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 ここでやっとキチンと表情を見ることができる。事実確認の意味よりも、そんはずはないという否定が根底にあると強く感じる。ヴァイオレットにとってのギルベルトの存在をあらためて認識するような表情でもあった。
 加えてこのカットのヴァイオレットが不安定な様子は、ギルベルト兄にとってただの「道具」に過ぎなかった頃のヴァイオレットと比較されて、変化の象徴として映っている。
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 ギルベルト兄との対面では真実を確認する時だけ表情を見せる。それ以外は顔を見せない。ギルベルト兄の知る「道具」としてのヴァイオレットとは違う表情をしている、ということを表情を見せずに伝える、という役割も兼ねていて、一連のカメラワークが印象的なシーンだった。
 
 表情を見せない画面では「現在のヴァイオレット」の象徴して結った髪にカメラが寄ることが多い。
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 回想のヴァイオレットが後ろで髪を束ねているだけということもあり、印象に残る。線の多さがそのまんま繊細さの象徴としても映る。

 ギルベルトの邸宅に戻り、ギルベルトの墓と対面する。その時の色味が消えたヴァイオレットがとても印象的だった。
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 環境色含め、様々な色があった今までの話数とも対比されている。たくさんの感情を汲み取ってきたことを無に帰してしまいそうでもあり、空白という言葉をより強く感じさせる。
 特に瞳は感情の湧き立つところとしても多く描かれてきたし、この話数でもブローチに関わるシーンでクローズアップされている。そこから色味が消える、というのがとても怖いことのように映る。
 極端な表情付けは今回絵コンテ演出の澤さんの色と考えていいのかな。このカットも今まで表情を極力見せてこなかったことによって、強く印象に残る表情になってる。



 ヴァイオレットの過去について。
 アバン。黒い闇の中にあったヴァイオレットに、ギルベルトが始まりという意味での白を与えようとするようなカットが多い。
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 ギルベルト邸宅内も白が意識されてる。
 その後、すみれ色、ブローチのエメラルドグリーン、街の灯りの暖色が増えていく。
 色とともに、心の距離感としての境界線演出もいくつかあった。
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 (暗い)
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 アバン、出会いの場面。ベッドの柱を境に分かたれた状況から、ギルベルトがヴァイオレットを抱き寄せる。ギルベルト兄の言う「道具」としては扱えない、というギルベルトの想いを感じる。
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 そして終盤のホッジンズが会社を興すという話をした後。兵士を辞めさせられてギルベルトに見捨てられてしまうというヴァイオレットの気持ちと、ヴァイオレットに対し兵士ではない生き方を望むギルベルトの認識違いの描写。

 炎の使われ方も印象的だった。通常であれば当たり前のカットでも、7話の「燃えている」という言葉から少し焦点を当てたくなる。
 3話では人の心としての印象もあった炎。ヴァイオレットの過去にある炎は、いろいろな形に変化していた。
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 名も無き兵士が持つ小さな炎。ヴァイオレットが淡々と絶やした命にも人の心があったはずだ。
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 兵士の持っていた小さなランタンをヴァイオレットがまき散らし、大火に変わる。ヴァイオレットの兵士としての成長を抑止出来ないように、制御できない大きな炎へ。
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 そのことにギルベルトは顔を歪める。
 炎の中、死線をくぐり、照明弾を打ち上げたギルベルトが見せる小さな笑み。苦笑とも映るし、悲しみを含んだ笑みにも映る。
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 自分には「ヴァイオレットが兵士として活躍する(=人を多く殺す)ことを望まないギルベルトの本心」と、「ヴァイオレットの武功に対する感謝」という裏腹な気持ち、そしてギルベルトがヴァイオレットへ望んでいた「道具ではなく、その名が似合う人になる」という兵士としては叶えられない「いつかきっと」を、ホッジンズの話を聞いて叶えられるかもしれないという安堵…そういったものが複雑に入り混じった表情に感じた。
 そしてギルベルトが撃たれ、画面を包む炎。
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 過去のヴァイオレットの世界も、白に変わる。



 現在のヴァイオレットも、過去のヴァイオレットも、白に侵食されるというのがラストカット。喪失、無に帰す、真っ白…1話の頃の「生まれたばかりのまっさらなヴァイオレット」とは違う印象を持つ白がヴァイオレットを包んでいるようで、とても興味深い。最初に見た1話と、8話を見た後の1話では物語の印象も画面の色の印象もなんとなく違って見える。

 ギルベルトの墓前でいろいろな人の「ギルベルトは死んだ」を意味する言葉がオーバーラップのようにヴァイオレットへ圧し掛かるけれど、今までの物語の中にはヴァイオレットを支えてくれるような言葉や感情もあったはず。
空白となった「        」の中が、この先のヴァイオレットの世界の色とそれを取り巻く言葉や感情、そしてヴァイオレット自身の表情で溢れることを願いたい。
プロフィール

ざっかん

Author:ざっかん
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http://zakkanzakko.seesaa.net/

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