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2016-01-02(Sat)

話数単位で選ぶ2015年TVアニメ10選について。

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 さて、コミックマーケット89に参加された方、お疲れ様でした。そして「雑感雑考出張所」にお越しいただいた皆さん、本当にありがとうございました。もうこれ売れんだろうなあと思ってたら12時の段階で普通に手持ちなくなりました。感謝。今度参加するときには新刊も引っさげて参加できるよう頑張ります…!

 さてさて、2015年も終わりまして、10選も今年で3年目(正確には4年目)。今年も楽しいアニメが目白押しでした。

 ルールは
・2015年放送のTVアニメ。
・1作品1話まで。
・順位は付けない。

思いついた順で書いていきます。


1,『暁のヨナ』 第21話 「火花」 脚本:森下直 絵コンテ:美袋一 演出:福田きよむ 作画監督:小澤早依子、Kim Bo Kyoung

 ヨナは町の少女達を救出するためにユンと共に囮となり、捕らわれた少女たちのいる船から合図の花火を上げる。
 この回では囮となって捕らわれてからの、ヨナの弱気な部分と心の底にある信念の見え隠れが面白い。力はないけど信念はある。自身の力で生きていくことは決意したけれど恐怖心は拭えていない。そんな微妙な気持ちのヨナの不完全さが物語の振れ幅を増やしている気がします。
 作戦自体も完全なものでなく、潜入したヨナとユンの勇気によって必死で上げた花火は決して派手なものではないんだけど、確実に光がさしたことがわかるラストカットと、前期OPがBGMとしてかかる中、花火が上がった瞬間無音になる演出も良い。「上がった!」と叫ぶヨナ(CV斎藤千和さん)の振り絞った声も良い。「火花」というサブタイは打ち上げた花火とヨナの勇気の心の大きさにかかっている感じ。


2,『純潔のマリア』 第11話 「SI VIS AMARI, AMA 愛を望むなら愛せ」 脚本:倉田英之 絵コンテ:須永司 演出:倉川英揚、渡邉徹明 作画監督:テロップ表記なし

 この回はBパートのマリアがプロポーズしてからミカエルに「彼氏ができたの!」って報告するところまでが好き。純潔のマリアはマリアの感情の昂ぶりを魔法で表現できちゃうのがずるい。ぷんすかぷんすかしてたマリアが「皆ありがとー」とか言って木をもくもく生やしたりモンスターをわらわら出したり…心の躍りっぷりが伝わってくる感じが面白いですね。
 ちなみにこの回は作監表記はなく総作監と作監補だけなんですよね。補う人がいないのに…総作監の二人が作監的ポジションを担ったということかな。


3,『プリパラ』 第47話 「あろまにはナイショなの♪」 脚本:福田裕子 絵コンテ:森脇真琴 演出:小林浩輔 作画監督:戸田さやか、本多恵美、斉藤里枝

 正直みかんのインパクトで選んだ感ある。キャラデザインはそこまでとんがってないのに、渡部優衣さんの声と森脇さんに味付けされたことによってすんごいキャラになってしまっている…。みかんの飯の食い方だけでまず笑える、そんな一話。苺の食い方は特に必見。
 情熱が燃えるみれぃで焼き芋を焼くそふぃについて誰もツッコまず平然と話を進める(そのうえわざわざ次のカットで焼き芋を食う)感じが森脇イズム全開で面白い。みかんお腹減る→あろま肉まんを買うときにもんじゃ作りに誘われる→みかん、あろまの誕生日であることを思い出しケーキ作る の流れがなんかあまりにも不自然なんだけど飲み込めてしまう感じが面白い…というより怖い。
 最近のプリパラはあじみという凄まじい物語ブレイカーが登場しながらも、上手にあじみを扱ってるところに猛烈な狂気を感じる。あじみメインの回は正直面白いというよりも怖い。なんなんだこのアニメ。
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3,『アイカツ!』 第126話 「ぽっかぽか♪オフタイム」 脚本:野村祐一 絵コンテ:佐山聖子 演出:安藤尚也 作画監督:前澤弘美、冨澤佳也乃、松本美雪、鈴木萌、中村千秋

 この回は本編の、星宮世代にもあったオフタイムの緩く柔らかな印象も好きなのですが、なんといってもダンスパートが凄い。
 ステージ自体は小さくて平面的なのに、とりあえず…で作ったカメラワークが一つもなく、「pretty pretty」というタイトルの通り可愛さと楽しさの演出が盛り込まれている感じ。3人のキャラクターがいることを活かした立体的な立ち位置の入れ替え、振付と連動したズームイン・ズームアウト…計算されていてとても面白いです。ダンスカットでよくあるキャラクターフルショットで横パンするカットはサビの数フレーズだけなので、単調というよりもダイナミックさが先行している印象。キャラクターを見せるカット、振付を見せるカット、ステージギミックを連動させるカット、カメラワークを目立たせるカット、どれもが新鮮で、曲のテンポとの連動を意識されているのがとっても気持ちいい。アイカツダンスパートの弱点だと(勝手に)思っていた横への動きも、「かわいくなりたい」のカットの下半身を固定したまま上半身を微妙に横へ揺らす、という動きをみてしまうと、もう弱点無い感じですね。凄い。
 あとはもうあかりちゃんのセリフですかね。たまりませんな。


4,『ハイキュー!! セカンドシーズン』 第12話 「試合開始!!」 脚本:佐藤卓哉 絵コンテ・演出:川崎逸朗 作画監督:宮川智恵子、秋山一則

 ハイキュー1期11話のような「烏野高校が1勝を掴むことに対してどんな人がいて、その人がどんなバレーボールをしてきたかを表現する」ことに加え、将来的に烏野高校のライバルとなりえるチームはたくさんいることを視聴者に知らしめる回。中心は決して烏野高校だけじゃないんだぞってのがハイキューの一貫したポリシーかな、と勝手に思っているのですが、そのポリシーの見せ方のヴァリエーションに感動します。そんでそのヴァリエーションが行き着くところは「ボールを繋ぐこと」に終着するのがまた良いですね。ハイキューは心の躍動がそのまま作画で表現されるので面白い。


5,『俺物語!!』 第1話 「俺のものがたり」 脚本:高橋ナツコ 絵コンテ:浅香守生 演出:渡邊こと乃 作画監督:香月邦夫、濱田邦彦

 浅香さん含めマッドハウス演出人はボーイミーツガールを描くのがあまりにも上手すぎる。漫画調のポップな演出はもちろん、色の華やかさがとても楽しい。表情も豊かなため、逆に淡い色やシリアスな表情をすると画面の印象も跳ね上がります。
 この一話では冒頭の赤鬼が落とした赤い鞠(?)が色のテーマでもある感じがする。冒頭の部分では青や黒が画面全体が覆う中、赤が特徴的だし、猛男をタオルで拭くカットでも事前に白と黒を強調させた上で赤いタオル(本当は白いタオル)を印象的にしています。猛男にとってはタオルが先の鞠のように、他人と親しくなるためのアイテムとして感じていたということでしょうか。

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 こういう画面の印象の振り幅がとっても気持ちいい一話。


6,『響け!ユーフォニアム』 第8話 「おまつりトライアングル」 絵コンテ・演出:藤田春香 作画監督:秋竹斉一

 麗奈の目から見た世界を堪能できる一話。詳しく書いちゃったので下記記事参照。
 響け!ユーフォニアム8話について。
 キャプチャなあ…キャプチャ…


7,『SHIROBAKO』 第23話 「続・ちゃぶだい返し」 脚本:吉田玲子 絵コンテ:許琮、菅沼芙実彦 演出:倉川英揚、太田知章 作画監督:大東百合恵、秋山有希、川面恒介、武田牧子、容洪、朱絃沰、西畑あゆみ

 物語が動き出す場面は決して劇的なものではなく、ちょっとした気づきから方向性が変わってくるってのがしずかに役が回ってくることにもリンクしてて、それがしずかにとってどれだけ待ち望んでいたものかを23話まで見ている側としては十分にわかっている。その状況でアフレコ現場に姿を現すしずかがもう、良いですねえ。バイト先の暗い場所で受けた電話にどれだけの夢が詰まっているのか…非常口の緑の光が日常にあるものでありながら、夢への扉の役割を果たしているのがまた良い。
 最近端から見たら小さな出来事でも、本人にとってはとても大事なことで、それによって心を動かされている…みたいなシチュエーションにすごく弱い。

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8,『ワンパンマン』 第12話 「最強のヒーロー」 絵コンテ・演出:夏目真悟 作画監督:久保田誓

 2015年一番の作画回。至る所からエース級のアニメーターさん集めたらそりゃこうなりますわ。キャラクターの強さを見せるのにあたってアニメーションで表現するという、当たり前でありながらめちゃくちゃ難しいことをいろんなアニメーターさんがいろんな表現するという贅沢すぎる一話。相手の強さを見せることに寄ってサイタマの強さを見せる、高橋矢太郎さんパートは最高ですね。破壊とか攻撃を加えること一つ一つの動作が炸裂する瞬間よりも物質の動きは遅れていたり、別の因子が発生していることを描き込んでいて、インパクトまでの情報量を増やすことに重点が置かれている感じがする。破片の動きの遅さがそのまま画面の情報量になって、ボロスは軽快に駆けまわっているのに威力が重いことが伝わってくる。ただただ圧巻されました。


9,『アイドルマスターシンデレラガールズ』 第23話 「Glass Slippers.」 脚本:土屋理敬 絵コンテ:舛成孝二 演出:益山亮二 作画監督:古橋聡
 
 自分はアイドルマスターシンデレラガールズの1話の時から卯月の笑顔が曇る瞬間と曇った笑顔がどう戻るのか、というところが見たかったのですが、まさに見たいものが見れた一話です。
 この一話を見るまでは卯月は自身の魅力である笑顔に多少の納得をしているのかなと思っていたのですが(心の隅で思っていたのかもしれないけど)、心の底では笑顔は誰にでもできることだと思っていて、それを声に出してしまった瞬間に卯月のすべてが崩れてしまうってのがあまりにも可哀想で、ボロボロ泣きました。他の皆は自分自身の魅力を掴んでいっているのに、自分にはなんにもないと思いながらひたすらにレッスンをする卯月は何を考えていたんだろうと思うともう、可哀想で仕方がない。
 でも自分が絶望をせずに見られたのはOPがあったから。OPでは自分の手の中にはなにもないことを見ながらお城を見上げるわけなのですが(ここも可哀想すぎてボロボロ泣く)、サビで仲間に手を握られながら走りだす卯月がいて、最後には「この笑顔が」の歌詞の部分で笑えている卯月が見られるので、あぁこいつは大丈夫だと思いながら、安心して卯月が必死に自分の「星」を探すことを見ていられるわけです。ボロボロ泣きながら。
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 んでやっぱこの一話のハイライトはBパートの、卯月の中の気持ちをぶちまけるところです。
 「笑顔なんて、笑うなんて誰でもできるもん」というセリフで、笑顔というガラスの靴足り得るものをなくしてしまったシンデレラ=卯月がどんどんと小さな少女になっていく感じがどうしようもなく凄い。気持ちをぶちまけてしまったことにより完全に魔法が解けてしまったように、か細く、弱々しい声。大橋彩香さん凄い。ほんとに凄い。
 んで「笑顔なんて、笑うなんて誰でもできるもん」なんて言っておきながら笑顔もできない卯月ってのも、もう、良い。完全に自分が見えなくなってしまったことが伝わるセリフ。
 んでここは作画も良い。卯月はきっと上のセリフを言う前から笑顔は自分の「きらきらするもの」とは成り得ないと思っていたんだろうけども、それを言葉にしてしまうことに躊躇いもあって、その中で出たセリフだから「笑顔なんて」と切り出す顔はとても勢いが合って凛に向けてぶつけてやろうという意志が感じられるんだけど、言い切るころにはもう下を向いてしまっていて、凛にぶつけるつもりもなく吐露する、という卯月の心象とリンクした作画になっていると思います。卯月にとっては途中からもう誰と話すでもなく、自分の中で考えていたことを自分に言うように、ただつぶやいているように感じていたのかな…と。涙溢れるタイミングも、凛に顔を向けた時ではなく、俯いて「なんにもない、私にはなんにも…」と言った時が涙のピークってのも上手だなあと思った。ボロボロ泣きながら。
 この一話はOPが合ってこそだと思うので、まさに一話選ぶのにふさわしい回かなと思います。ただひとつ許せないことは次回予告がライブの模様を放送、という名の総集編だったということですかね。web公開版の予告ではOPの通り、踏み出す兆候を感じるカットを選んでるので、ですよなあってできるのに…もったいない。
 その後武内Pが「星は今もそこにあります」っていうのも良い。武内Pが卯月の笑顔を信じていることはもうわかっているけど、良い。
 まさに画面と音がキチンとシンクロして表現できている、最高の一話でした。


10,『VENUS PROJECT -CLIMAX-』 第1話 「開幕、クライマックス!」 絵コンテ:中山岳洋 演出:飯村正之 作画監督:古賀誠、藤田まり子

 斉藤良成さん枠。近年の斉藤さんの到達点の一つではないだろうか。いつも以上に巨大感を強調したメカ作画でソルグラヴィトンクラッシャーパンチの如く飛び出す右腕、同ポージングで振り下ろしTU。いつも以上にエフェクトを盛りまくってる感じがして満足度が非常に高い。BGで描いてある月がいきなり四角い破片を撒き散らし爆発するのは大張さんの血なのだろうか…!アクション部分だけは明らかにコンテいじくりまくってるから一つ一つのネタと意図を探るとめちゃくちゃ面白そうである。
 しかしこの 「開幕、クライマックス!」 というサブタイ、的を射ているどころの話ではなかったのがとても悲しい。最終巻も発売されたことだし、総作監地獄から開放され新たな斉藤さんのお仕事を見られることを心の底から楽しみにしております。


 以上10話。
 なお黒子のバスケついてはどの回も良かったので選べませんでした。ダイヤのエースとかベイビーステップとかもそうだけれども、最近のスポーツアニメは真っ向からスポーツ作画と勝負すること前提で作っている感じがして凄い。素晴らしいです。
 あとSHIROBAKOのとこでも書いたけど、最近他人から見たら「それそこまで悩むか?」みたいなことにすっごい悩んだり困ったりする…っていうシチュエーションにものすごく弱い。ここ叫けとかもそんな話だったから、すごく感動した。だから逆に言うとそういうので病んでるーとかいう感想を見るとなんだかなあとなる。なぜそこまで悩むんだかわからん…ならまだ良いけど、病んでるってなんじゃ…というどうでもいい気持ち。
 アニメに関しては今までどおり楽しく見れているので、今年もそんな感じで見れたらいいな。プラスで新たな見方とか発見できればなお良い。あとは見る時間だね。労働は悪なんだね。
 あ、あと今年はMAD作る。作りたいにしとくと今までの記事に書いているように、次の機会に…になってしまうので宣言しとこう。


 今年も素敵なアニメに出会えますように。

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