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2017-01-01(Sun)

話数単位で選ぶ2016年TVアニメ10選について。

 どうも。
 興奮覚めやまぬ内に…と言った感じですが、コミックマーケット91お疲れ様でした。また、3日目「雑感雑考出張所」にお越しいただいたみなさん、本当にありがとうございました。去年、一昨年以上にお話していただける方が増えて、また以前から関わりの合った方にもたくさん会えて…誇張でなく万感の想いです。本当に楽しかったです。ありがとうございました。
 ただまあ色々と反省しなきゃなあと思うところもあったり…漠然とした反省なんで反省のしようがないんですが。また面白いなあと思ったことがあったら新刊チャレンジします。そのときにはまたお越しいただければ嬉しいです。


 さて、2016年もついに大晦日。今年はお仕事がすごく大変だったんですが、何故かめちゃくちゃアニメ見てまして。働く前とおんなじくらい見ていたような。それくらい面白いアニメがたくさんありました。その中から話数単位で10話選びます。

 ルールは
 ・2016年放送のTVアニメ。
 ・1作品1話まで。
 ・順位は付けない。

 思いついた順で書いていきます。



1,『ばくおん!!』 第10話 「こうはい!!」 脚本:大久保智康  絵コンテ:石倉賢一  演出:岩田義彦 作画監督:服部益実、桝井一平、shin hyung sick、清水恵蔵

 この回は主人公たちの1学年下である中野千雨がバイク部に入部する話。千雨は姓が「中野」だし親父は元レーサー。黒髪ツインテールで普段はそんなに感情を表に出さないのに、自分のこだわりには反応する…もう中野梓なんですけど、単なるパクリキャラじゃなくて、千雨のこだわりという要素をブーストさせて「みっともない」キャラクターにしていることがすごく面白い。
 自分が勝手に思っているコンプレックスやプライドにこだわってしまったせいでみっともない状況に立たされるんだけど、周りもそこまでまともなヤツがいないからなんとなく乗り切れてしまう…でも千雨にはそのみっともない自分が残るっていう状況がすごくシュールというか、愛らしい。
 普通中野梓をパクったらこういう方向には行かないんじゃないのかなあって方向に転がる(本当に転がる)千雨というキャラクターの魅力が溢れた回。バイクの排気音で歌う(?)という、これもまたその方向はどうなんだろうなあというEDも含めて好き。



2,『灰と幻想のグリムガル』 第5話 「泣くのは弱いからじゃない。耐えられるのは強いからじゃない」 脚本:中村亮介  絵コンテ・演出:尾崎隆晴 作画監督:清水勝祐、松原栄介

 この回は脚本:中村亮介さんが光る回。中村さんは全話脚本書いてるんだけど、中村さんの今までの作品でのお仕事、そして『灰と幻想のグリムガル』という作品を見てもこの回の脚本に魅力が詰まってると思います。
 ハルヒロ達パーティはリーダーであるマナトを失い、不協和音が生まれ始める。生計を立てなければと焦るパーティ男性陣はメリイをマナトの代役として呼びゴブリン狩りに行くが、「ぐだぐだ」で終わってしまう。
 マナトを失ったこの先のことについて酒場で話す男性陣の掛け合いが見事。仲違いをしたわけではないから喧嘩はするし、会話もする。でもなんとなく居心地の悪さを感じて、キチンと話し合いができない。それでも軽口を叩ける程度の余裕はあって、ハルヒロとランタが「さくっと謝るんじゃねえよ、つまんねえだろ」なんて言い合ったりする。マナトを失ったことによる漠然としたディスコミュニケーション。『ねらわれた学園』で(テーマは恋愛であったが)すれ違いを描いた中村さんだからこそできる掛け合いだったと思います。何気ない言葉の端にキャラクターの内包する気持ちが見え隠れしてて、それは単にシリアスな要素だけではない。言葉の掛け合いの中に見えてくる小さな隙意がいろんな雰囲気を生み出している、そんな1話。



3,『この素晴らしい世界に祝福を!』 第4話 「この強敵に爆裂魔法を!」 脚本:上江洲誠  絵コンテ:亜嵐墨石 演出:ボブ白旗 作画監督:さのえり、大塚八愛、加藤万由子、伊藤智子、南伸一郎、是本晶、伊藤幸

 『このすば』は強引に話をデカくしようとするんだけど結局そんなことなかった、みたいな平和な物語で、すごく好き。この回もアバンでカズマが「クリエイトウォーター」って言ってドンとポーズを取るんだけど、水がちょろっと出るだけーとか、魔王を倒せとカズマに言うくせに内職に励むアクアとか、大したことしてない。
 この回の本筋である暗黒騎士を怒らせてしまって呪いを掛けられてしまった!って部分も結局アクアがすぐ直しちゃう。そんな皆ワーワー騒ぐ割には小さくまとまってしまう、『このすば』のなんてことない毎日感がすごく優しくて楽しい。この回は特にそれが綺麗にまとまってる。みんな本気で慌てたり驚いたりするんだけど、最後は結局大丈夫だったね、で終わる。EDののんびりとした空気が尚更その優しい感じを強調していて好き。
 もう一つ見どころとしてはめぐみんの爆裂魔法。小澤さんの爆発エフェクトがすごい上手。吉成さんっぽくしたり金田さんっぽくしたり…キャラ作画含めて振れ幅が大きいのも『このすば』の魅力。



4,『Re:ゼロから始める異世界生活』 第18話 「ゼロから」 脚本:中村 能子  絵コンテ:永山延好 演出:古賀一臣 作画監督:渡邉八惠子、豆塚あす香、浅利歩惟
 
 スバルはエミリアを救うために何度も間違えて、何度も躓いて、何度も失敗する。レムを始めとして協力者は居たが、それもスバル自身が翻意にしてしまった。疲れ果てたスバルはレムに一緒に逃げようと提案する。
 この回の凄いところは、スバルの口から今まで間違えてきたこと、失敗したこと、スバル自身が自分の嫌な部分、すべてをさらけ出すのだけど、レムにあるスバルへの信頼でそれを肯定したこと。「私(レム)が信じたお前(スバル)を信じろ」とでも言わんばかりの純真な告白…というよりも説得に近い。言葉の選び方と画面構成も上手ですよね。スバルが自身の失敗を話す際に、凍えて死んでしまった時のバンクが入るんですけど、その後にレムからポジティブな意味で「溶かす」という言葉を使ってたりする。
 今まで暗く沈んだ画面であったのに、この回で一気にシンプルな画面に転換したこともお見事。スバルに深く突き刺さった絶望とレムの純粋な信頼のせめぎ合いを、群青の青と散らばる雲、時折影が差す描写が、そのせめぎ合いをストレートに演出していました。
 これもまた『アイドルマスターシンデレラガールズ』23話とおんなじことを言ってしまってアレなんですが、スバルは自分のやってきたことに自信なんか無くて、どこかで自分を疑っていて、最終的に失敗を積み重ねて自分のことが大嫌いになってしまった。そんなあまりにも悲しい経験をしてもなお、レムの信頼を契機にまた立ち上がろうとするっていうのがね…もう…だめだ…。



5,『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』 第4話 「月の輪」 脚本:岸本卓  絵コンテ・演出:佐藤雅子 作画監督:鈴木明日香、米川麻衣、折井一雅

 今まで「繋ぐ」ことをいろんな手法でいろんな視点から見せてきた『ハイキュー!!』がボールを「断つ」ことを見せた回。
 月島が牛若のスパイクを断つために虎視眈々とその時を待っていた。何本かに一本決まればいいと高を括ってブロックを狙っているが、それは百点のうちの一点。たったその一点…でもその一点に込められた大きな快感が月島の左拳を振り下ろした姿に集約されていて、心が震えました。
 「根性無しの戦い」とか「バレー馬鹿たち」とかも良かったですけどねハイキューは…サブタイが良いの多いですよね。



あ…年を越してしまった。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。…続けます。


 

6,『田中くんはいつもけだるげ』 第2話 「弟子入り志願」 脚本:面出明美  絵コンテ:二瓶勇一 演出:福多潤 作画監督:竹森由加、山本亮友
 
 宮野が可愛い回。カメラの位置が全体的に高く(というか宮野が小さい)、主観視点で宮野を見るカットが多い。ちっちゃい女の子が目の前で手やら足やら広げて縮めて、ワーワーやってるのを堪能できます。
 デフォルメや漫符の使い方も上手い。目を丸くするだけの場合もあれば3頭身くらいになるときもあるし、耳が生える時もある。カットを割ってデフォルメになるわけではなく、普通の頭身の宮野の脇にデフォルメの宮野が出てきたりする。かなり自由度が高いキャラクターです。
 てか、飯塚晴子さんがデザインするキャラクターのブレザー女子のふかふか感ってなんなんでしょうね。脇から腰にかけての実線がヒントな気がするんですが…。あと下腹部辺りまでブレザーがあって、ダブついてるのも効果あり…?

 そしてなにより、この宮野というキャラクターを引き立てているのがCV:高森奈津美さん。なんというか、声のエフェクトとでも言えば良いのか。語尾のトーンや声の抑揚で驚きや叫びにタメツメが効いてる…。CMカットのイチゴミルクを飲んだ後の「ぷはぁー!」とか「宮野ですーー!」って喋る高森奈津美さんを聞いて欲しい。声にエフェクトが着いてるんですよ…!



7,『Vivid Strike !』 第4話 「リンネ・ベルリネッタ」  絵コンテ:西村純二 演出:吉田俊司 作画監督:平田賢一、飯島友里恵
柴田志朗


 この1話の良いところは、誰かのせいでというわけでなく、リンネが自身の甘さによっておじいちゃんの最期に間に合わなかったのだと解釈したことですね。自分はイジメであるとか、悪意による動機づけって正直苦手なんですが、リンネは本話を期に、自身に戒めを埋め込んだ。正しいかは置いておいて、リンネが強くなりたいと思った原点だとするならばそれは決して後ろ向きな動機づけにはならないと思うんですよね。そして印象付けとして、おじいちゃんのいないベッドをFIXで見せた後、ドン!とおじいちゃんが眠る画をハーモニー(ではないですね。っぽい処理?)で見せる。この画面だけでリンネがイジメを機に…ではなく、おじいちゃんの最期に間に合わなかったことを機に…と純粋に捉えられると思うんです。
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 また、サブタイが「ベルリネッタ」という姓を含めているのも、当然だと言われればそれまでですが、この1話を見た後だと重みを感じます。「ベルリネッタ」であることの誇りがリンネにあったからこそ、この1話があると思うので。



8,『ステラのまほう』 第5話 「カウントダウン」 脚本:志茂文彦  絵コンテ:こでらかつゆき 演出:山口頼房 作画監督:原田峰文、大谷道子、崎口さおり、薮田裕希

 ゲーム「ステラのまほう」の制作も佳境だが、歌夜からの音源が届かない。椎名とあやめは諦めの言葉を口にする。
 『ステラのまほう』はたまに見せる淡白な反応がすごく好きで。この話でもさっきまで一生懸命ゲーム作ってるかと思ったら「歌夜はもう寝ちゃったのかも」なんて言ったりする。SNS部が「楽しくゲームを作る」ということを目標にしているわけだけども、その「楽しく」の基準なんて曖昧で、キャラクターが楽しくないと思った瞬間、もしくはゲーム作りよりも大事なことがあった時にそれぞれの気持ちの隅が覗く。そこを逃げずに描写しているのがとても良いと思うのです。
 諦めの言葉を口にしてからBGMが無くなり、画面が急に固くなるのも好きです。音源が届いた後の賑やかな感じも。
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 キャラクターにとって、今を過ごしている時間が大事だと思っているわけではない…なんて表現、女の子が集まってるアニメで見ようと思ってもそんな見れんじゃないですか。たまにシームレスで現れる、淡白な様子の描写がすごく興味深かったです。



9,『舟を編む』 第2話 「逢着」 脚本:黒柳トシマサ  絵コンテ・演出:長屋誠志郎 作画監督:新田靖成、島沢ノリコ、佐古宗一郎

  芝居作画の多様性に触れた1話。早雲荘に帰ってきた時のおばあちゃん。馬締の表情だけじゃなくて、体の縮こまる様子をみて「元気がない」と言う。その後二人で食事をとるところ、辞書編集部の話をする馬締は下を向いて入るが視線は固定されているのに、営業部の話をしだすと途端に目が泳ぐ。キャラクターの心象とリンクしている目線の移動で、とてもおもしろいです。おばあちゃんに諭された後もうつむく画が入りますが、落ち込んでうつむくというよりもホッとした表情に見えます。これはどう違うか明確に言葉に出来ないので、印象で書いちゃってるかもですが…。
 特に序盤の馬締は自らの行動に不安を感じているような素振り(肩を落としたり、目線をそらしたり)が多く、馬締の頼りなさが伝わってきます。逆におばあちゃんは振る舞いに余裕があるように感じます。話しているときも肩から上で大きくリアクションを取っているからでしょうか。細かい表情の変化についてはどなたが指示してるんでしょうね。



10,『響け!ユーフォニアム』 第10話 「ほうかごオブリガード」 脚本:花田十輝  絵コンテ・演出:山村卓也 作画監督:池田和美

  あすかが自身の本当の気持ちを飲み込んで、吹奏楽部から去ろうとする。そんなあすかへ久美子は「あすかと一緒に演奏したい。大人ぶるのをやめろ」という。
  このシーン、久美子はこの言葉を最初からキッチリ伝えることはできていないんですよね…久美子はすぐに本音を真っ直ぐ言える女の子じゃないんだっていう…ガラッと変わってしまったわけではなくて、久美子はただの高校生のままなんだよってことがとても良く伝わる訴えかけ。伝わりすぎて久美子がとても、とても愛おしく思える。手振りを精一杯つけて、すごく一生懸命に見える。
 傷だらけでもきれいな鍋に磨き上げたお姉ちゃんを見て、どんなに過去に傷ついたことがあっても自分のやりたいことに実直であるべきだと信じる久美子が、とても良い。

 久美子があすかへ「自分だけが特別だと思い込んで」と言うセリフが好きです。あすかと一緒に演奏したいという、この場では「あすかだけに向けた」特別な気持ちを伝えるのに、あえてこの言葉を選んでる気がして。
 ラストカットには久美子のユーフォニアムの前にあすかのユーフォニアム。横並びではないけれど、久美子の隣にはまたあすかが座っている。あすか先輩だって、ただの高校生なんだ。
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 以上。
 ユーフォのところ書いてたらぼろぼろ泣いてしまった。10選書くの疲れる。
 そして書いている途中で年を越してしまった。改めてあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 いやーほんとに2016年のアニメは面白かった。他の候補としては『NEW GAME』8話とか『紅殻のパンドラ』3話とか『relife』5話とか『DAYS』12話とか『無彩限のファントムワールド』3話とか。『プリパラ』入れられなかったのも残念ですね。こんこん金剛力士像の回かウサチャが自ら食べられる準備をする回のどっちか入れたかったです。

 楽しくアニメが見られればそれでいい。MADは…ちょっと待って下さい。
 

 今年も素敵なアニメに出会えますように。
 




 
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